元カレで考える、顧客満足の話

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ビジポコ編集長から学ぼうのコーナーです。

 

「新規ビジネスをポコポコ生み出す会社になりたい!」からビジポコ。サイトオーナー・コンサルタント河上の、クライアントのつぶやきから名付けられたビジポコでは、新規事業・DX・デザイン思考などを中心に、少しでもお役に立てるサイトを目指してやっていきます。

今回は、“元カレと顧客満足”の話です。

藤田は元カレと、顧客満足について大論争をしたことがあります。そこから15年近くがたち、いまだ結論がでない顧客満足とは何か?というテーマで、今回はお届けします。

 

 

元カレと大論争

 

●年前のことです。ライター藤田が独身だった頃、ある自営業の男性とお付き合いしていました。当時の彼氏、つまり元カレです。元カレは住宅のリフォーム屋さんで、ご本人はお客様対応したり、施工したりと、営業活動をされていました。

元カレはオンラインゲームにはまっていたようで、さっさと仕事を切り上げてパソコンに向かっているのです。あまりにオンラインゲームばっかりしているものですから、私藤田は何気なく、「技術が上がるように、練習したり、勉強をしたりしないの?」と聞いてみたのです。

すると、元カレは「仕事はね、お客さんが満足すればそれでいいんだよ。お客さんが『わー、クロスが綺麗になった』と思えばそれで仕事は終わり。向上心とか、練習とか、勉強とか、どうでもよくて、『世の中には顧客満足しか存在しない』んだよ」というのです。

 

世の中には顧客満足しか存在しない・・・
裏側の見えない努力など、する必要がない・・・

 

当時、私藤田は、それがモヤモヤし、彼に論争を仕掛けました。「見えない部分、裏側の努力、向上心、、、そういうのって、品質のためにも必要じゃない?それが回り回って顧客満足につながるのだし・・・」という論陣を張りました。

しかし、元カレはかたくなに譲りません。「お客さんが満足したら、それで終わりなの。」と言い張るのです。

顧客満足と向上心

 

結局、恋愛関係は、何年かで終わってしまいましたが、そのときのモヤモヤだけが今でも残っていました。

世の中は飽くなき向上心による質の追求か、それとも顧客満足を得たらそこで努力は打ち止めで次のお客様(あるいはゲーム)に向かうべきなのか。

この個人的論争から15年が経った今、ビジポコのサイトオーナーであるコンサルタント河上に、思い出とともに話してみました。河上の答えはこうです。

 

「飽くなき質の向上か、顧客満足か。それは神学論争になりますね・・・」

 

とのこと。

つまり、どの神様が正しいかもめているのと同じで、答えがあるわけではないと。さらにいうなら、自分がその神様を信じると決めているなら、同じように近い価値観を持った顧客が良いと。そして自分はそうした価値観の似た、理想のお客様と出会うために、ビジポコを運営している側面がある、とのことでした。

 

さらに、河上の話は続きます。8月の新聞について。

8月の新聞がやっていること

 

以降は、取材形式よりもわかりやすくするため、藤田の理解を中心にまとめます。

藤田はライターをしているのですが、取材は取材の聞き方によって出てくるワードが異なることは、意外と知られていません。インタビュー次第で、回答をどうにでも操作できてしまう側面があります。

たとえば、新聞の8月を考えてみましょう。戦争の悲惨な動画を取材相手に見せ、鎮魂の祈りが捧げられている空間で、「戦争には反対ですか?」と聞くと「反対です」と答えが返ってくることでしょう。

一方、大規模な災害が起きたり、テロなどの悲惨な事件が起きたりしたとき、「自衛隊は必要ですか?」と聞くと、「必要です」という答えが大抵返ってきます。

つまり、シーン、空間、バックグラウンドによって、答えはいくらでも変化してしまいます。それぐらい、人間が「話す」、「聞く」というのはあいまいで、絶対的なものではないのだと河上はいいます。

言っていることが本音とも限らないですし、さらには、自分が何をいっているのか、内容と意味づけを理解せずに話していることすらあります。

どこまで追求していくかは、美学の問題

 

(表出する)人の意見がさまざまである以上、「どこまで追求するかは【美学の問題】です。ライターの場合であれば美しい文章や、欲望をかきたてる文章の追求。そしてコンサルタントという職業であれば、説得力のある原典に当たるための文献探しなど、裏側で努力しようと思えば無限にできるわけです。時間さえあれば。」

 

「コンサルタントは、世界で一番、無責任な職種だと自分では思っています」と、他でもないコンサルタントのビジポコオーナーの河上はいいます。なぜなら、「リスクを取るのはクライアントであり、自分は外野からわいわいいうだけだから」と。

 

と同時に、コンサルタントは「2,3冊の本を読んで、それっぽく語る人たち」だという揶揄も存在します。ある意味でその批判は当たっているのですが「コンサルとはその、2,3冊の選定が抜群にうまい人たち」だというわけです。ふむふむ。

 

「コンサルタント職でいうならば、原典をどこまで調べるか。関連の書籍や論文をどこまで読み込むかなど、“こだわり“をどの程度持つかは、自分次第なのです。だって、2,3冊の本を読んでお客様が納得していただければ、そこで話は終わり、という考え方の人もいれば、もっともっと知識の幅を広げていって、お客様に深いレベルでの納得を促したい、というコンサルタントもいますよね。」と。

発信してはじめて違いに気づく

 

「ビジポコは質、つまりこだわりを徹底的に追求していく方向でありたいと、考えています。

ビジポコに限らず、発信者にとっての質とは何か。それは「徹底的に人の役に立つ」ということです。徹底して誰かの役に立つこと、そしてそれをビジポコに乗せて広げることで、より広く大きく深く、知識と経験が役立てば良いなと、思っています。

また、今回の元カレの話は、当時思い切って「もっと練習しないの?」と聞いてみたことから、思わぬ相手の価値観が露わになり、違いが際だった、ということでもあるのではないでしょうか。つまり、発信してはじめて、その違いに気づく、というわけです。

発信を通じて他者との違いを際立たせ、そして自分自身が納得のいく方へ向かい、同じ方向に向かうお客様と帯同していく。それでいいのではないでしょうか。」とのことでした。

 

元カレとの顧客満足論争から15年。先方(元カレ)は今も自営業をがんばっておられるのでしょうか。当時はダメダメ会社員だった藤田も、自分自身の自営業を通じていろいろ学び、たくさんのクライアントとのお付き合いを通じて、顧客満足の意味が少しわかったような、わからないような。

ただ、ひとつ確かなのは、元カレを説得できなかったその頃から15年が経ち、今や多様性の時代になったということです。相手を否定したり、思うとおりに動かそうとしたりする理由などどこにもありません。自分が信じる道をいき、同じ思いを持つ方と、一緒にお仕事できればそれで、世界はうまく回っていく、ということではないでしょうか。

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