
ビジポコ編集長・河上に聞いてみようのコーナーです。
「新規事業(ビジネス)をポコポコ生める会社になりたい」という、クライアントのつぶやきをベースに命名されたビジポコ。新規事業やDXやデザイン思考についてお届けしていきます。
さて、今回はビッグウェーブの話です。これを書いている私藤田は、ランサーズやSNSなどからいただいた仕事で日々の暮らしを立てているのですが、そこで「早くから始めて有利になってずるい!」といわれることがあります。ずるいかどうかはさておき、早くから始めたのは事実です。そして、同時期に同じようにWebライターの仕事をスタートした人もいらっしゃいましたが、ほとんどの方が途中でおやめになり、業界を去られました。
一方、Webライターの業界に今から入ってくる方も大勢います。まるで寄せては返す波のように、たくさんの人が出入りするライター業界。とても盛り上がっています。そのビッグウェーブを初期から捕まえて、次の大波に乗るにはどうしたらいいのでしょうか?また、事業のアイデアを出す側として、上場を見据えるぐらいの画期的なサービスのアイデアを考えるにはどうしたらいいのでしょうか?
今回のビジポコは、「次こそトレンドをつかむぞ!」と思われる方に向けて、『デザイン思考』を通じたビッグウェーブの捕まえ方をお届けします。
もくじ
トレンドはどう捕まえる?
まず、ビッグウェーブ=トレンドとはどうやって生まれるのでしょうか。どう捕まえるのでしょうか。
編集長河上によると、「価値が大きく変わる瞬間のサービスを捕まえること」です。
世の中には、たくさんのアプリやサービスが存在します。アーリーアダプターになって次の大波に乗ろうと、珍しいアプリを探したり、ちょっと評判のよいサービスをせっせと使ったりする方もたくさん。では、消えていくサービスと、その後大きくハネる(飛躍する)サービスはどこが違うのでしょうか。
それが「価値観が変わっていくかどうか」だと河上はいいます。
ランサーズやクラウドワークスを代表とする、クラウドソーシングサービスを考えてみましょう。従来、仕事の発注は、法人から法人に流れるのが当たり前でした。それが、法人から個人に発注される時代がやってくるはず、ときっとクラウドソーシングの創業者は捉えたのでしょう。なぜなら、法人への発注はとにかく割高だからです。
発注元企業から見て、割高な法人から、少しお得な個人への発注。10年前はまだ「個人は信用できない」や「個人に発注する方法がわからない」や「前例がない」という理由で、法人から個人への発注は見送られていました。
そこで、個人への発注を後押しするサービスとして、クラウドソーシングサービスが生まれたのです。
【ユーザー向け】価値観の変革を見極める
2014年頃、私藤田がランサーズで、ひとつ15円のタスク(小さな仕事)や、1本1000円ぐらいの短い原稿を書き始めた頃、インターネットには「クラウドソーシングは稼げない」「地雷クライアントの案内所だ」「クラウドソーシングのWebライターは1本500~1000円の仕事をする。生活は成り立たない」という投稿があふれていました。悲しいことです。
河上によると「『地雷クライアント案内所』という表現では片手落ちで、「お互い地雷」だったのではないでしょうか? 仕事を依頼する人もうまくできないし、受託する側もうまくできない、昔はぎこちないマッチング場所だったのは事実ではないでしょうか。」
「しかし、未来は確実に『法人から個人に発注される世の中』へ動いていきます。価値観の変革が起きているからです。」
ビッグウェーブに向かってサーフィンがしたいなら、胸でさざ波を捕まえる必要があります。そのさざ波をキャッチするには、そもそも天気予報を見なくてはなりません。天気予報と低気圧が価値観の変革というわけです。
【事業者向け】価値観が変わるサービスと、変わらないサービス
利用者としてだけでなく、開発者としても同じ考えが使えます。
「価値観の変革が起きているかは開発者側つまり新規事業を立ち上げる側になったときにも、大きく使われるサービスの元となるアイデアか、不発で終わってしまうかを見極める際に使える考え方です。
たとえば、紙の請求書発行が面倒という悩みがビジネスパーソン全般にあったとします。そこで、請求書をオンライン化すれば新規事業のアイデアです。しかし、価値観の変革まではいっておらず、仮に紙の請求書を求めるクライアントには、印刷して送付するオプションを考えたとしても、価値観の変革までは届いていません。これだけだと、代行になり、それはそれで貴重なサービスなのですが、代行サービスとして競争に巻き込まれてしまいます。」
なるほど、はねるサービスとそうでないサービスが見えてくるようだ・・・!
価値観を変革するには?
価値を変革する、変革のさざ波を捕まえるーー言葉で言うほど簡単ではありません。では、どうやって、ビジポコいち推しの『デザイン思考』で解決するのでしょうか?
「人に聞いてみれば良いのです。1行で、ひとことで価値を伝えてみて、「それ使ってみたい!」「やってみたい!」となるかどうか。サービスの価値が伝わるか。ひとことで伝えてみます。
ただ、伝え方にもいろいろあって、
×「会社から発注を受けられるとしたら、使ってみたいですか?」
〇「勤めにいかなくとも、在宅で働けたら嬉しいですか?」
という聞き方をすれば、一部の、仕事は嫌いじゃないけど、人間関係が煩わしいなという人が「それはぜひ使ってみたいサービスだ!」という答えが返ってきたのではないでしょうか。」
お客様、見込み客、そして自分のターゲットユーザーと近い動きをする方に、聞いてみるだけ。それなら、調査費もほとんどかかりません。ただお声がけするだけですからね。
デザイン思考では、ユーザーと近づき、とにかく聞いてみる、伝えてみて伝わるか試す、というプロセスを大切にします。
「聞く」と「行動する」の距離
ただ、「ユーザーに聞いてみる」という行動から、実際にそのユーザーが「登録する」には少し距離があります。
実際、私藤田がランサーズを使い始めた頃、周りの人に「在宅で働けるようになった」といっても、価値を理解する人は多くいても、実際にランサーズに登録してみる人は多くなかったのです。つまり「聞く」と「行動する(登録する)」には、へだたりがあるのです。
「アイデアと、アイデアを生み出した後、ユーザーをどこまで行動に取り込めるか、にある少しの距離。この距離を縮めるには、アイデアがどこまで腹落ちしているか、という部分にあります。さらに、そのアイデアにどこまで人生を賭けられるか、という自分の行動もかかってきます。」
- 思いついたアイデアや使っているサービスをとことん使う
- アイデアにどこまで人生を賭けられるか
で、他の人の行動を巻き込んでいけるかが決まってきます。
アイデアのビッグウェーブを捕まえよう
他人のアイデア、自分のアイデア。
捕まえるのは簡単ではありません。
ただ、分解するとさまざまなことが見えてきます。
- 価値観の変革が起きているか
- アイデアが画期的かどうかは、人に聞いてみる
- ひとことや、1分で価値を伝えられるか人に聞いてみる
- 聞き方にもヒントがある
- イケてるアイデアかどうかは、腹落ち(自分の深い納得)で決まる
- 人生を賭けるに値するかがアイデア成功の鍵
これらが、デザイン思考で導き出された、ビッグウェーブの捉え方です。
アイデアも分解すると、さまざまな要素と行動に小分けできますね。これからもデザイン思考で新規事業について考えていきますので、どうかご期待ください。