こんにちは。
犯人はヤス。でお馴染みのBizpoko編集長の河上泰之です。
本投稿は昨年度行っていた、 奈良県三宅町の行政の皆さん向けのDXアドバイザーとしての講演会の書き起こしです。30分の講演会でしたが、DXの本質をストレートに語ったため、その後、0円でPoCを開始するまでに職員の皆さんを動かすことができました。
DXの難しさは「DXで目指すべきことが組織全体で合意されないこと」に尽きます。
例えるなら、「日本の山に登ろうぜ!」とだけ約束をして、社員全員が同じ山に登るのと似ています。言わずもがな、そんなことは無理ですよね。
では、どうしたらいいのか。
簡単に言えば、全員でDXとは何か、共通の理解ができれば良いわけです。
例えば、「富士山に登る」とゴールをはっきり共有できれば、一足飛びに進むことができます。
実際に、講演会からわずか2ヶ月間で、三宅町の役場の皆さんは0円でPoCを開始しました。
この秘密は、ゴールを共有できたことと、ググる事なくあらゆる物事を外注する文化を廃止して自らが手を動かし、アプリやツールの利用を始めたことにあります。
実際にこなしたスケジュール↓
・1月中旬にリアルタイムと録画で全職員が講演会*を視聴。
・2月下旬までに、84個の業務課題を洗い出し、173個の解決策を議論。各課で取り組む課題の選定と、仮の解決策と、使えそうなアプリやシステムの選定を終了。
・3月中旬までに、通常業務やコロナ対応を行いつつ、産業管理課が先行して、道路管理に関するLINE受付の仮運用を開始。
三宅町の森田町長には「今後、国から予算がつきITシステムベンダーが大挙してくることは見えている。導入費用は国からの予算配分で賄えても、その後の保守費用は絶対に払いきれない。そういう中で、DXは何かを全員で理解し、最小の手間で最大の効果を得るために、良い学びとなった」との旨を、最終報告会で語っていただきました。
本投稿では、この快進撃のきっかけとなった講演会の内容を当時の資料をもとに書き起こしました。
受講者アンケートを一部抜粋します。
【アンケートより抜粋】
- 講演では「よかれと思って作ったものは実は無駄だらけ」「これを実現するために何か使えないか、もしかしたらDXはいらないかもしれない」とのくだり。また、「ユーザー側でシステムを使ってみる」ことが強く印象にあります。
- 住民が電子申請を希望するからシステムを構築するのではなく、こんな仕組みを作ったから利用されませんか?の考えでDXをすすめ、もっと業務の効率化をすすめていきたい。
- DX研修を受けて、全てではないが、将来的に何かをしていく必要があるとつくづく思ったことがプラスになった反面、意識と人材と組織によってDXを進めることがかなりの労力と時間が必要であると思った。
この講演はきっかけに過ぎず、DXは自ら手を動かすことが重要だとの決意と意識が伝わってきます。
繰り返しになりますが、DXを成功させるためには、まずは全員で向かうべきゴールを整えることが重要です。
以下の講演録が、三宅町の皆さんに勇気を与え現実を動かしたように、少しでも日本の役に立つことを願います。
それでは、スタートです。