【価値を伝える】映画の制作に1000億円かけても、見るか見ないかは1分で決まってしまう

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ビジポコ藤田です。

 

突然ですが、映画は見ますか?

 

映画って純粋に集中できるし、物語からの学びもあるし、人生を豊かにしてくれて、最高ですよね。でも、あなたは映画の見る/見ない をどこで判断しますか?そして、見てきた映画がとても面白かった場合、どのようにして周囲に推薦しますか?

 

  • 大きく張られた看板
  • 偶然見かけたポスター
  • 映画館での予告
  • ネットに載っているサンプルムービー
  • お友達からの評判
  • SNSで評価が高い

 

など、いろいろな経路で映画館に吸い込まれていくことだろうと思います。

 

映画制作は、とてつもない費用が投下され、制作費は1000億円を超えることも多々あります。しかし、自分自身が見るか見ないかを判断するときや知り合いに推薦するときを考えてみてください。1分ぐらいで結論を出してしまいませんか?今回のビジポコはその話です。

 

価値は1分で伝わる

 

映画を見る/見ないの判断はとてもわかりやすい具体例で、1000億円かけたとしても、プロモーションを大手の代理店が担当していたとしても、お客さんは1分で価値を判断します。「映画レビューサイトのランキング一覧を、評価が高い順に鑑賞していこう」とか「1000億円かけた映画だから見に行こう」とか「広告代理店が超有名企業だから見に行こう」となる人はかなり少数派です。

 

自分自身が1分で判断するなら、周囲の判断も1分程度です。購買を促すとき。何かを手に取ってもらいたいとき。「これだけがんばったんですよ」とアピールするのは刺さらない可能性があるのです。もちろん、努力を伝える、伝える努力をする、そしてストーリーを提示することは大切です。しかし、伝える際には、仮に費やしたお金や時間をてんこ盛りにして伝えようとしても、相手は動かない可能性が高いのです。それを心のどこかで知っているからこそ、私たちは周囲に「この前見た映画、総制作費1000億だったんだって!見に行きなよ」とはいわないのです。

 

また、海外映画宣伝の常套手段で「全米が泣いた」というキャッチコピーが多用されます。多種多様な方が暮らすアメリカで、「全員が泣く=ダイバーシティの進んだ社会で普遍的な意味づけを考えさせる映画である」、と伝えているわけですが、注目すべきは1行で伝えているということです。もちろん「全米が泣いた」という映画は無数にあるので、それだけで映画館に行く人はもう少なくなりました。

 

消費者の価値判断はシンキングタイムが短く、1分で決まります。見に行くか、見に行かないかは、一瞬で決まってしまうのです。

 

価値をどう伝えていく?

 

価値に火をともすには、1分で伝えることが大切です。

1分で伝わらない魅力には価値がありません。

映画を見に行こうと誰かを誘うとき、「時給1,000円あげるから、一緒に見に行こうよ」とはいいませんよね。なんとかして、自分が感じた価値を伝えたくなるはずです。

 

そこで、どう伝えるか、制作者サイドとしては、どう伝えてもらうか、ということが課題となります。

 

たとえば、私藤田の家の近くには、“行列のできるレストラン”があります。

そして、藤田は別の地方に住む友人に、こう伝えました。

 

「近所に行列のできるレストランがあってね。いつもランチセットを頼んでいるのだけど、サラダやドリンクを頼むと、店員さんが『ありがとうございます』といってくれることに気がついたの。ランチセットは利益率が低いけど、サラダやドリンクは利益率が高いからだねきっと。反応が面白くてつい色々頼んじゃうんだあ」

 

すると、ひとりは神戸から、もうひとりは富山から、そのレストランにいきたいと友人がやってきました。価値を1分で伝え、その内容が人を動かすものだったからこそ、500キロも移動して、遊びに来てくれたのです。

 

 

M-1グランプリを制したマヂカルラブリーの元旦ライブ

 

繰り返しになりますが、価値は1分で判断されます。

よって、1分で伝えきれない価値は、価値ではないともいえます。

 

もうひとつ、例を出してみます。

漫才コンテストのM-1グランプリ2020で優勝した、マヂカルラブリーという芸人さん

がいます。

 

彼らは、まだコンテストの興奮間もない1月1日、つまり元旦に、『マヂカルラブリーno寄席』というライブを開催しました。すると、吉本興業のオンラインライブのチケット史上、最高枚数の17,000枚が売れたといいます。SNSで話題となり、爆発的に売れたのです。

 

私藤田もチケットを買って、視聴しました。すると、地下ライブといっても、有名な芸人さんもたくさんでており、お得感が満載でした。知名度がない地下芸人と呼ばれる方々で、私が存じなかったのは“モダンタイムス”だけなのです。

 

そして、そのモダンタイムスが、週刊文春の取材で語ったことには、

 

今年1月にやった「マヂカルラブリーno寄席」を野田は“地下ライブ”って言うんですけど、ぜんぜん「地下」じゃない。だって、永野さんがいてTHE GEESEがいて、脳みそ夫さん、ランジャタイとか知名度がある芸人じゃないですか。豪華ライブですよ。ただ、モダンタイムスっていう地下芸人を真ん中に持ってきて、「地下ライブ」と言ってるだけ。そこが主催した野田の上手いところなんです。

 

参考「野田クリスタルが巧みだった大宮セブンの見せ方」地下からブレークする条件と“次に来るコンビ” 週刊文春

 

 

とのこと。つまり、センターに地下芸人をすえて、「地下ライブ」と銘打ち、実は有名人もたくさんでていることでお得感や納得感も増大し、発想の転換で大成功したのです。

 

 

このときも、価値は1分で伝わっています。

SNSを駆け巡った価値といえば、こんな感じでしょうか。

 

「地下ライブ芸人として名をはせ、M-1グランプリで劇的な優勝を果たしたマヂカルラブリーが、地下仲間を集めて地下ライブを劇場で開催。オンラインで視聴できます」

 

これなら、観たくなってしまいます。また、マヂカルラブリーのSNSには、ポジティブな感想が殺到し、それも購買を後押ししたのではないかと考えられます。

 

  • M-1グランプリの劇的な優勝
  • 無名の人をセンターに据えて地下ライブと命名

 

に加えて

 

  • 地下でありながら著名人がでるというお得感
  • SNSのポジティブな口コミ

 

が後押しし、ランキングを押し上げたのではないかと思われます。

 

まとめ

 

価値は1分で伝わります。

 

長々と伝えるのではなく、1分を意識して価値を伝えてみましょう。そして、1分で伝わることを意識しながら、価値を創出してみましょう。

 

1000億の映画も、行列のできるレストランも、地下芸人のライブも、すべて1分で伝わったからこそ、です。身の回りで何か口コミが起きるとき、そこには1分で伝わる価値があります。ぜひ、観察してみてください。

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ライター藤田は、ウニ屋の娘です。創業者である母親が国の専業主婦1円起業枠でゼロから立ち上げた北海道根室市のウニ屋の娘で、ディスカッションを楽しく学びある記事に仕上げます。

 

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