生協「売ってあげるんだから、ありがたいと思え」ウニ屋「ぐぬぬ・・・」

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こんにちは、ビジポコ藤田ならぬ、ウニ屋の娘・幸子です。

ウニ屋は、とてもシンプルな商売です。

漁師さんが獲ってきたウニを港で買い付け、男衆に割ってもらってミョウバンにつけ、女工さんに綺麗に詰めてもらうだけ。あとは片付けて豊洲市場とふるさと納税に出して、払うもの払ってお金数えて終わりです。

 

私はこのシンプルさが大好きで、というよりとてつもなく好きなんです。

売上も何億かあり、赤字でもなく、コロナ禍でも落ちない良い商売だと思います。

 

遠目ではシンプルで好きでも、近くで見たら、また親と話せば課題は山積みです。従業員さんはいるものの、家族経営でもあり、利益も出していきたい・・・欲望や願望を持てば持つほど、乗り越えるべき壁が立ちはだかります。

 

その課題を、デザイン思考で乗り越えていきたいです。

 

ウニ屋の悩みとは?

 

といっても、シンプルな商売ですから悩みも単純です。山ほどある悩みのうち、大きなものはつぎの4つです。

 

①豊洲市場や全国の市場に卸すと、すべて買ってくれるが価格に波がある

②ふるさと納税なら安定しているが、個人で買ってくれるお客さんからのクレームがキツい

③新商品開発をして道産子プラザのルーキーランキング1位をとっても、販路拡大を生協(CO-OP)に頼ると利益を持って行かれる

④新商品のパッケージデザインがシンプルにダサい。どれが当たるかわからないのでデザインにコストをかけづらい

 

今回は、デザイン思考で③を解決する話です。

 

  • 売上安定化と販路拡大のために、プラットフォームに頼る
  • プラットフォームに利益を持っていかれる

 

というケースは、多々あるのではないでしょうか。そこを、デザイン思考でどう解決するか、みていきます。

 

売上をさも当然のように持って行く生協

 

そもそも北海道はグルメの頂点で、素材が最高ですからできあがる加工品も最高。ウニふりかけ、ウニ醤油、ウニ塩など、たくさんの消費者の方にお喜びいただいています。嬉しいですね。

 

ただ、もっともっと多くの方に食べていただきたいなと思って、生協に卸したんですが、彼らはコープのシールをぺたっと上から貼り、しれっと売るのです。せっかくこちらが努力した商品を安く仕入れ、「生協で売ってあげるんだから。」「生協に卸せるってすごいでしょ」「ありがたいと思ってね」とまじで発言して利益を大量に持っていくのです。

 

商売は非情。その口ぶりにも、口ぶりが意味するところにも、くやしくてたまらないわけです。じゃあ、デザイン思考でどう解決するか、という話になります。

 

そもそも問題は何なのか?

 

「生協で売ってあげるんだから、有り難いと思ってよ」

 

みたいなことを言われて、ヘラヘラ笑っている生産者でいいのでしょうか?よくないですよね。でも私はくやしがるだけで何をしたらいいかわかりません。ちくしょう、生協め・・・そこで、ビジポコ編集長コンサルタントの河上に打ち明けたところ・・・。

 

「生協が力関係の主導権を握っているのは、向こうがデータを持っているからですね」

 

とのこと!

そこでまた私は「なるほどおおおおお」となりました。怒りとくやしさで震えて見えていなかった力関係がクリアになったのです。そう、向こうが販売データを持っているから、強く出られる。じゃあ、こちらがデータを持てば、別に取引先は生協じゃなくてもいいし、成城石井にだって、西友にだって、百貨店にだって、交渉できる立場になるかもしれない・・・

 

つまり、「市場に売ってもらうと、その先の消費者とつながれない」ということです。

 

浮上する別の問題と循環

 

ただ、ここにはひとつの大きな落とし穴があります。そう、消費者対応がしんどいということです。悩み②が立ちはだかり、「安定していていいけど、一般の方に売ると、対応がしんどいなあ。商品以上に、クロネコヤマトや佐川急便の、配達の問題が多いし・・・だからといって、豊洲などの市場に売ると、季節によって大きく値段が違うし・・・」と、ぐるぐると問題が渦を巻いて循環し、思考停止になってしまうのでした。

 

そして、この②と③の問題を、一気に解決するアイデアを編集長・河上は出してくれたのです!

 

デザイン思考で悔しさを成仏させる

 

編集長河上のアドバイスの元、整理したらシンプルに問題は2点ありました。

 

  • 生協になめられて悔しい
  • 消費者のネガティブフィードバックがつらい

 

これは裏返せば

 

  • データを持って交渉優位に立つ
  • 消費者とポジティブにつながる

 

ということ。

解決する方法もまたシンプルで、

 

  • LINEショップカードを使って、個人のお客様とポジティブにつながる

 

というものでした。

 

LINEショップカードとは、スマートフォンのコミュニケーションアプリであるLINEが出している公式機能で、店独自のスタンプカードをLINE上で展開できるのです。普通の用途としては、ひとつ買ったらひとつスタンプ、スタンプがたまったら割引・・・という使い方が想定されていますが、そこをバンバン無料でスタンプをあげちゃう。

 

たとえば、親戚の集まりでの写真を撮ったらスタンプ、SNSにあげてもあげなくても写真を撮ったらスタンプ。そして別に割引もつけないと。

 

つまり、生産者とコミュニケーションを取りたい人だけを、LINEショップカードを通じて可視化させるのです。強いファンだけを集めれば、販売力の見える化になります。すると「貴店で物産展をひらけば、この地域からこれだけの集客がみこめますよー」と提案でき、交渉力もあがります。そして何より、お客さんからの熱量と愛情をたっぷり受け取れるのです。

 

販売データもたまるのに加えて、消費者と「ありがとう」でつながるので、楽しく仕事ができちゃいます。まさに、冒頭の②と③の課題をいっぺんにクリアしているのですよ。

 

最後に

 

私個人は、そもそも④の「デザインがダサい」というところでぐるぐるまわり、お金をかけて一流デザイナーに洗練されたパッケージを作ってもらえば、解決するんじゃ?という思考でおりました・・・でもそれって、自分の決断を放棄し、いたずらにお金を使い、さらにいってしまえば責任感まで外注してしまう、ということに他なりません。

 

ああ・・・私はおろかでした。そして、次々と問題を解決していくデザイン思考の信者になってしまいそうです。

 

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ライター藤田は、ウニ屋の娘です。創業者である母親が国の専業主婦1円起業枠でゼロから立ち上げた北海道根室市のウニ屋の娘で、ディスカッションを楽しく学びある記事に仕上げます。

 

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