正しさよりもちょっとした虚構を教えてくれる推しの存在

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”推し”はいますか? あなたの推しはどのような人でしょうか?

 

ところで忙しい方って多いと思います。そんなあなたは仕事の推進力を何にしていますか?「家族が支え」という人もいるでしょうし、「お金が欲しいから頑張る!」という人もいらっしゃいます。そして最近多いのが「推し」のために仕事をがんばるという人たちです。

 

そう、推し。お気に入りのアイドルや作家やタレント、そして準タレントのような存在のYouTuberやインフルエンサーなど、世の中にはたくさんの人がたくさんの推しを持っています。

 

あなたは誰が推しですか?

私の推しはよしもと興業所属のお笑いコンビ『ニューヨーク』です。今回のビジポコは、推しに関連した話題でお届けします。

 

 

外部のお笑い語りは恥ずかしい

 

とはいっても、お笑いについて語ることはしません。お笑いは、ファンが語るものではなく、アマチュアお笑い評論は世界で一番恥ずかしい行為だと思います。ひとことでいうと、“イタイ“のです。よって、もっとも楽しんでいる漫才やコントのネタについては語りませんし、採点もしません。あくまで、商売的な部分について。

 

芸能人の「売れる」には法則があるのか問題

 

芸能人の「売れる」は誰にも読めないといいます。仮に「売れる」に法則があるのであれば、吉本興業がテキストにして高値で売りさばきまくっていることでしょう。1億人を相手にするメディアであるテレビは、大衆の感情という見えないものを相手にするため、法則性が導き出せないのです。

 

ビートたけし、島田紳助、松本人志といった大御所タレントは分析家であり思考力も高く、さまざまな「売れる法則」をテレビの視聴者である私たちに教えてくれます。しかし、いざその法則にそって自分が“面白い話“をしてみようと思っても困難です。プロの話芸は当たり前ですが簡単に真似できませんね。

 

法則性があるとしたら、枝葉の部分です。たとえば、メイプル超合金のカズレーザーはかなり戦略的に売れていったと周囲に語られています。また、M-1グランプリ2005の大会中、ナイツの塙は、トイレで島田紳助に遭遇し

 

「漫才は三角形になってないとあかんと思うねん」

 

といわれたと、著書『言い訳』で書いています。つまり、漫才は自分と相方とお客さんの三角形で成り立っており、立体的に笑いが起きたとき会場が笑いで爆発するということだそうです。

 

劇場が爆発するとき

 

爆発といえば、千葉にある”よしもと幕張イオンモール劇場”へたまに足を運びます。舞台上のニューヨークに会いに、そしてこれまで知らなかった芸人さんの魅力と出会いにいくのですが、気づいたことがあります。

 

よしもと幕張イオンモール劇場は東京から離れており、よしもとの偉いさんがあまり来られないのだそうです。そしてご存じの通り、東京駅から海浜幕張駅への京葉線の乗り換えは異常に遠く、移動だけでくたくたになりますよね。その往復の負担に加えて、1日5ステージも漫才を詰め込むという過密スケジュールによって、結構芸人さんの疲れが見えるときがあるのです。

 

一方、同じ舞台でも芸人さんが疲れ知らずで、観客がもう面白がって笑い転げる日もあります。そんな“あたり”の日を思い起こすと、千葉県に新型コロナウィルス感染症の緊急事態宣言や、マンボー(まん延防止等重点措置)が出された直前の舞台だったのです。

 

しばらく劇場で会えなくなる…その思いが、芸人さんのサービス精神を引き出すのか、めちゃくちゃ笑いで会場が爆発するのを目撃しました。私が見に行った2021年3月24日は、3回目の緊急事態宣言が首都圏に出された日の前日で、劇場がまた閉まる最後の舞台だったのです。

 

じっとしてやり過ごす?!

 

さまざまな要因による演者の疲れは何が引き起こしているか。2019年に起こった吉本興業闇営業問題は記憶に新しい人もいると思います。数多くの芸人を抱える吉本興業は、売れていない人ほど利益の分配が過酷であり、闇営業をしなければ生活が成り立たないという側面があったとされます。

 

「駆け出しのころは1舞台200円だった。相方と半分で100円、税金を引かれて90円」などは芸人さんから多く聞かれるエピソードです。その過酷すぎる収益構造が問題となったのですが、2021年現在、吉本興業がとった選択は「何もしない」ということだったとニューヨークは笑います。

 

じっとしてやり過ごすというのは、ある意味で合理的な選択です。

 

才能とは何か

 

「売れる」に話を戻すと、才能を発掘し、育て、爆発させるには何が必要か。それは大崎洋会長の弁から学べます。小学生の頃からダウンタウンをみて育ったのですが、中学生ぐらいのとき、当時マネージャーの大崎氏が取材に答えていました。

 

「俺はダウンタウンの笑いはわからんし、面白いとも思わん。でも、観客が笑い転げている。舞台の客が笑い転げているのをみて、こいつらはいけると思った」

 

ここからの学びを簡単に表現してしまうと、信じぬくことです。とことん腹落ちして、「いける!」とどこまで思えるか。人生をかけもいいと思える何か(この場合はダウンタウン)に出会ったら、信じぬくこと。

 

事業においても、単なるアイデアと、成果を出すアイデアの違いは、どこまで腹落ちできるかの部分です。

 

やっぱり語ってしまった!

 

「お笑いについて語らない」「お笑い評論は恥ずかしい」と言っておきながら、語ってしまった気がします。それだけお笑い魅力的で、文字通りタレント(才能)の祭典なのです。

 

何かが爆発的に広がるには、この「語り」の要素が必要になります。1分で価値が伝えられること。1分でその魅力が伝わるのであれば、どんどん人を巻き込んで大きく広がっていくと編集長河上はいいます。

 

身近なSNSでもフォロワー数を伸ばして影響力を得るには「自分の話をするのはNG。誰もあなたに興味がないから」といわれます。一方、実社会を見ると、みんな「あの人は~だよ」「あの人はこんなことをしたんだよ」と、みんな噂話に夢中です。

 

実はここにネットとリアルの大きなギャップがあり、同時に商売のヒントも隠れています。私個人の話でいえば、仕事を軌道に乗せたのは、頑張っていることを毎日ブログに書いていたら、「失業し、クラウドソーシングでめちゃくちゃ働いている人がいるらしい」と、読者が話題にしてくれたのです。それが指名検索を増やし、生活していけるだけの売上ができて、つられて筆力も少しだけ上向いてきました。

 

自分自身が、何の話題を引き起こせるか。どんな物語を紡いでいきたいか。1分で語れるストーリーはあるのか。何を物語として伝えたいのかを考えれば、新規事業もきっとうまくいきます。

 

そして、ビジポコ編集長・河上による下記のトヨタの新規事業の記事にもあります通り、「思わず話したくなる面白い物語」「正論よりも、仕事終わりにみたい夢を」「正しいよりもちょっとした虚構を」ということを大切にしながら、やっていきましょう。

 

トヨタの新規事業は、なぜパッとしないのか

 

仕事終わりに見るニューヨークのYouTube、テレビ出演番組、そして休みの日に見に行く舞台は最高です。「推し」がいると人生が輝きだします。ニューヨークをはじめ、お笑い芸人さんはいろいろな人の希望です。実際の芸人さんたちは問題児も多く、トラブルも多々あるものだと思いますが、素晴らしい夢を見られる存在であり、そこには偉大なる虚構があるのです。

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ライター藤田は、ウニ屋の娘です。創業者である母親が国の専業主婦1円起業枠でゼロから立ち上げた北海道根室市のウニ屋の娘で、ディスカッションを楽しく学びある記事に仕上げます。

 

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