ビジポコ相談室:ホテル業界に恩返しがしたい。コロナ禍で客数大幅減少に苦しむ浜松のホテルの打ち手は?

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ご相談をいただきました。

 

現在、コロナ禍で様々な業界が苦境に立たされています。

最も苦しい業界の一つが、ホテル業界です。

元ホテルマンで23歳のWebマーケター・伊藤仁さんは、お世話になったホテルとホテル業界に恩返しをしたいと感じ、オウンドメディア集客などの新規事業を考えていました。ホテルにお客様を取り戻すには、何か打ち手があるのか・・・何を発信すれば、お客様はやってくるのか。価値を探す達人・編集長ヤスはどう答えるのか。今回のビジポコ相談室は、ホテル集客です。

 

【ご相談者】伊藤仁さん 23歳 男性

【お住まい】静岡県浜松市

【職業】Webマーケティングのコンサルタント

【前職】ホテルマン

【希望】ホテルにたくさん送客したい。

【備考】ホテル単価1万~2万円/日の、ランドマーク的シティホテル。結婚式場やレストランもある。

【今の着想】①オウンドメディアを構築しようか考えている ②LTVを伸ばすため高齢者より若者を集客すべきではないだろうかと考えている。

 

・相談内容①:高単価ホテルへの集客を増加させるために、地域に絞ったホテルのオウンドメディア構築を考えております。なぜオウンドメディアかというと、現在コロナの影響を受けたホテルが多数あり、現状私に大きな予算を預けていただける状況ではありません。そこで、オウンドメディアのPVを伸ばし、まずはホテルに広告枠として営業をかける予定です。

 

・相談内容②:若年層を獲得するための施策をご提案しようと考えています。現状、地方の高単価ホテルのお客様はご年配の方ばかりで、頻繁に足を運ぶわけではなく、LTVも伸びづらいです。そこで若年層を獲得できることで、中長期的に売上をもたらしてくれるはず・・・

 

では、スタートです。

 

ホテルの価値とは何なのか?

 

お世話になったホテルに恩返しがしたい。オウンドメディアを通じてホテルを楽しむお客様を集客。さらには若年層を呼び込みたい。というご要望。

 

他でもないデザイン思考で考えると、価値はどこにあるのか探すことからスタートすることとなります。ホテル・・・ホテルの価値。結婚式場やレストランのある、浜松地域のランドマーク的なホテル。ちょっと良いホテルですよね。

 

ヤスは2021年1月に、ホテルオークラの成瀬社長とお話する機会を得たそうです。そこで、「毎年オークラに、家族で揃って中華料理を食べに来るお客さん」の話になりました。建て替えのゴタゴタでホテル側が予約に失敗し、そのお客さんの予約を飛ばしてしまったと。そして、とても強くお叱りをいただいたそうなのですが、そこで「なぜオークラのレストランにそれほどこだわっているのか」が明らかになったのです。

 

  • 家族揃って、毎年同じレストランの同じ卓を囲み同じコース料理を頼んで、写真を撮る
  • 年末になると、その写真を見返して1年を振り返る家族の習慣がある

 

から、オークラのレストランにこだわり、家族の思い出の習慣が途絶えかけたことで、お客様は傷ついた感情を受けたのです。

 

ホテルの価値は、ホテルが提供する北京ダックを綺麗に切るとかチャーハンの味を向上させる努力そのものではなく、家族写真とそれが毎年たまっていく思い出にあったのではないか。

 

つまり、ホテル側の企業努力に価値があるというより、お客様ご自身の中に、家族の中に、価値が埋まっていたのです。

 

提供できるものと、感じてくれる価値は異なります。そして、仮に写真が価値なのだったら、写真館と組んで・・・などの施策も思い浮かびます。もちろん、料理としてアレルギーに対応するとか、そうした努力は大切です。しかし、お客様が感じている価値で、ホテルがまだ見つけられていない価値を探していくと、オウンドメディアにせよSNS集客にせよ、うまくいくのではないか、というのです。

 

そしてデザイン思考ではいつも「お客様に聞いてみよう」がスタートラインです。写真のお話も、お客様が語ってくれてはじめてわかりました。

 

お客様の本音はどこにある?

 

そして、前回の歯医者さんのWebサイトを作りたい!という相談と同じく、ホテルの悪口的な部分を、ヤスは言い出しました。ずばり

 

「家族サービスは大変だし、ホテルはどっと疲れる」

 

これは重要な本音です。こういう人をどうやって取り戻していくか。

たとえば、その疲れを紐解くと、あちこちうろうろするから疲れるわけです。じゃあ、『ホテルから一歩も出なくて良いプラン』を考えてみたり、癒やしを軸として『最高の朝を迎えるプラン』を考えてみたり。

 

ホテルの集客はどうする? 情報を食べる私たち

 

昨今、ホテルの情報をGoogleで検索すると変なのがわーっとでてきて全然魅力的じゃありません(ライター藤田は耳が痛いです)。じゃあみんなどうしてるかというと、インスタグラムのハッシュタグ検索。

 

インスタで見た場所に行きたい

あの雑誌に載っていた景色が見たい

写真を撮りたい

 

つまり、現代人は、ホテルそのものや地元グルメそのものを消費しているのではなく、情報を食べているのです。

 

中高年はLTVが低い?若年層を集客すべき? ペルソナはどう想定する

 

ここで、伊藤さんより質問がありました。

 

「ホテル利用者は少し年配の方が多い印象です。若者のお客さんを取るべきなのか、そうではないのか。ホテルに価値を感じる人がいるか、計測したい。写真の話は、少し年齢層が高めの人にある積み重なる感覚で、若年層は今この瞬間を味わいたい人が多いのではないか」

 

うーん、なんて高度な質問でしょう!

 

そこで、ヤスよりペルソナの話がありました。

ペルソナとは、想定するユーザーと言いますか、理想の顧客です。よく、「30代男性、年収550万、趣味は筋トレで自宅は吉祥寺」といった属性のペルソナがありますが、デザイン思考では価値観をベースにペルソナを切ります。

 

年齢で変わる価値観。性別に依存しない価値観。それらを外部からみたときに、はじめて30代会社員という像が浮かび上がってくるのです。そこではじめてペルソナに施策が刺さり、デリバリーが可能になるのです。

 

さらに、ホテル単価は1~2万円。食事代や交通費も込みで2.5万円として、普段何にお金を使っているか考えていきます。ペルソナが日常的に2.5万円を使うものと、ホテルの価値の差分をみていくのです。それを紐解いていくことでギャップが生まれ、施策も生まれます。

 

たとえばペルソナが2.5万円をソーシャルゲームに課金しているとします。それなら、インスタのいいねでおしゃれな部分を競ってもらうとか、そうした施策が導き出せます。

 

ホテルの結婚式場に出せる価値とは・・・?

 

次々生み出されるデザイン思考を通じたヤスの話に、笑顔を見せる伊藤さん。

さらにつっこんだ質問が生じます。

 

「結婚式場のドレス選びをLINEで行う仕組みを作ろうと思ったが、これは競ってもらう施策になりますか?ドレスとタキシードを着てもらって、一番似合う人に式無料とか・・・」

 

普段から洋服をLINEで選ぶ習慣がある人なら、ドレスもLINEで選んでくれるでしょう。それより、ドレスは分厚くて思ったより既製品感が強いので、来場してくれた人には50%オフでドレスオーダーとか。

 

結婚式は、最初安めに提示されて、どんどん高くなります。これは法人と個人のコミュニケーションとしてあまり良いモノではないのではないか。それより上限(MAXの価格)を提示し、そこから引いていくのが良い関係なのじゃないか。コミュニケーションを変えていくのはどうか。飲み会でも予算には上限があるのだから。先に夢を見させてから値段を出すのは、ちょっとがっかりさせてしまいます。

 

何よりドレス選びは他の人との違いをいかに出せるかが大変です。そして既製品だったらあまり価値が出ないので、選ぶ楽しさよりも、作り上げる楽しさをお客様に渡してあげるのです。だって、時間がない中、焦って選ばされるのはつらいから。そうした微妙な感覚の違いを知っていき、「似て非なるモノ」を探していくのがデザイン思考。

 

議論して新しい価値を見つけよう

 

ドレスでいうなら、「ダイエット間に合わなかった」という人にいえない願望にも、寒色を選ぶなどの価値を提供してあげられます。

 

ここで私藤田が「人にいえない願望といえば、結婚式の準備で大げんかするカップルの話、それも痛みですよね」という質問をしました。それなら、結婚式で「旦那何もしないプラン」なども考えられます。口に出せない願望をみていくのです。

 

それなら、「結婚式の前夜22時には、ケンカのピークになりますので覚悟しておいてくださいね」なんてお伝えすれば、「うちは21時でした」というコミュニケーションが生まれ、それが口コミとなって、新しい価値やブランド化になっていくのです!

 

旦那何もしないプラン。

それぐらい、シンプルでわかるネーミングが必要です。

 

こうした価値を見つけて行くには、お客さまに聞くだけじゃなく、周囲の事業者さんともとことん議論していく必要があります。

 

少し単価の落ちるビジネスホテルに出せる価値は・・・? ワクワクをどう作る?

 

ここで、伊藤さんよりさらなるご質問が。

「これまでは商材がたくさんあるシティホテルの話でしたが、客単価2,000円前後のビジネスホテルに出せる価値はなんでしょうか?」

 

たとえば、ビジネスホテルに泊まって、テレワークに集中します。そこまでは誰しも考えつくところですが、さらに近所でご飯を食べて、写真を撮ったり、地元のスーパーに買い出しにいったりと旅が生じます。旅と旅行は違う。その旅の驚きを、現地性を、どうパッケージングしていくか、という課題になります。

 

すると、地元のスーパーやエピソード。そして地元のグルメ。さらには赤ちょうちんの店を3軒教えてあげて、悩む楽しみをプレゼントするのです。そうすれば、1週間だって泊まってくれるはず。ワクワクをどう作るか、ということになります。

 

うーん、仮に1泊2,000円で、テレワーク完備。そして地元の安くて美味しいグルメマップと、インスタの見たことない名所の情報と、赤ちょうちんを選ぶ楽しみやら何やら合ったら・・・私なら、パソコンを持って泊まり込み、昼は仕事して夜はグルメ。絶対に泊まりに行きたいです!一週間泊まって浜松を楽しみたくなっちゃう。

 

こ、これがワクワク。ワクワクを作るってことか・・・!!!!!

 

ビジポコの学び

 

  • 価値から始める
  • 顧客に聞いてみる
  • 情報を食べる
  • 価値観でペルソナを立てる
  • 普段使っているお金は何なのか考える
  • 似て非なるものを探す
  • 口に出せない願望が新しいブランドになっていく
  • わかりやすいネーミングをつける
  • ワクワクを作っていく

 

うーん、なるほど!!!!!!確かに、ウニ屋の話でも、歯科医院のWebサイト相談の話でも、デザイン思考は同じ考え方を通じて、答えを導き出してくれます。

 

伊藤様は大満足いただけたようです。さっそく、行動をされるとおっしゃっていました。デザイン思考と、雅な感じの話し方をする編集長ヤスのパワーすごい!私だったら、浜松行きたくなっちゃいますね。伊藤様、ぜひまたディスカッションしましょう!

 

ビジポコではこんなWeb会議をしています。めちゃくちゃ刺激になるので、よろしければ。

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