買えないモノがない時代の、プレミアムの作り方

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ビジポコ編集長・河上に雑談から事業のヒントをもらおう!のコーナーです。

 

今日は1200円カットのQBハウスに行ってきました。その後、ポイ活でもらったクーポンを使ってスタバでお茶を飲みつつワッフルを食べて、100円均一のダイソーをのぞいて、帰ってきました。使ったお金は2,000円。安いから散財してしまいます。

 

休日に2,000円を散財し、満足度の高い生活。QBハウスとダイソーと。後ここにユニクロと無印良品とがあれば、揃わないモノはないのではないでしょうか。しかも定番品ばかりで、満足度の高い生活が可能です。

 

日本はデフレだといわれますが、生活者からみてみると、お金がなくても豊かな生活ができています。ただし、この生活にはまだ欠けているモノがあります。それが『プレミアムな体験』です。

 

今回のビジポコは、買えないモノがない時代の、プレミアムの作り方をみていきます。

 

【ビジポコの学び】

●体験をデザインすることの重要性

 

 

デフレかつファストな生活

 

UberEatsを頼むのが止められません。せめてコンビニぐらいに行けばいいものを、体力の限界まで働いているので、食べ物はついクイックにしてしまいます。先日もバタバタしており、ランチはマクドナルドに1,800円も支払ってしまいました。

 

一方、同じ日の午後、横になってスマホをいじってフリマアプリのメルカリで1,800円の帽子に対して、300円の値切り交渉をいれました。

 

ランチのハンバーガーセットには1,800円もサクッと払ってしまうのに、フリマアプリでは同じ価格の帽子を300円値切る・・・この行動の矛盾について、ゆらゆらと考えていました。でも、答えは簡単でした。それは、マクドナルドはまさに「ファストフード」であり、現代においてファストであることはそれなりに高くつくのです。

 

無事に値切り交渉が成立して1,500円で手に入れた帽子は、ツイードの冬物ハットでした。今は夏前の梅雨時で、別に急いでいませんから、ゆっくり待てます。買い手に時間的な余裕があるときは、交渉も有利に進むのです

 

というわけで、マクドナルドのランチに1,800円も支払ってしまい割高感を覚えた私ですが、冬物の帽子を1,500円で手に入れ、ホクホクなのでした。

 

きっと、ご飯だって、炊飯器で炊き上がるまで「待つ」ことさえできれば、ランチをもう少し安くヘルシーに取れたかもしれません。そうすれば、経済的にはもっともっとコスパのいい生活が可能です。

 

ゆっくりスローに待つ生活

 

なんでも手に入る時代。しかも早く手に入る時代です。ヘアカットだって15分でそこそこいい感じに仕上がりました。ただし、冒頭で少し触れましたように、この満足度の高い「デフレ&ファスト&スロー生活」にはまだ欠けている何かがあります。それが、プレミアムな体験です。

 

私たちの生活は、もうQBハウスとUberEatsとメルカリと、無印良品とユニクロとダイソーとがあれば十分です。でも、プレミアムな体験が足りない。いや正確には足りなくないのですが、「あなたにはプレミアムな体験が必要ですよ」といわれると、「確かに」と思ってしまうのではないでしょうか。

 

「高くて遅い」を支えている存在

 

「安い&早い」も「安い&遅い」も「高い&早い」もある生活に、「高い&遅い」が足りないのです。この「高くて遅い」がプレミアムな体験だと考えられます。

 

そこで、「高く売る工夫をしている企業は、『箱』に力を入れている」とビジポコ編集長河上はいいます。たとえば、iPhoneを考えてみましょう。iPhoneは箱の改良にかなり力をいれており、開封した瞬間、「スゥッー」とゆっくり開くように工夫されているというのです。

 

「紙の箱なのに、気圧差ができるよう精密に作られていて、「スゥッー」とゆっくりと開くのです。その空ける感覚にハマっているApple信者の方も多く、「開封の儀」はブログでもYouTubeでも、世界的に人気のコンテンツになっています。」

 

箱の改良や梱包への工夫。これは何もiPhoneだけではなく、ハイメゾンなどでも採用されていると聞きます。実際、グッチやルイヴィトンで買い物すると、過剰なぐらい丁寧に梱包された状態で届きます。おまけに、店舗でのお会計は長いのです。絶対にもっと早くレジを打てるはずなのですが、あえてスローにしているのだと予想します。

 

美しい梱包の技術

 

箱。確かに、何にもかも作れないモノはない大正義ダイソーは、唯一、美しい梱包だけはできません。そこそこの品質を維持し、丁寧に陳列することはできても、開封の儀は実現不可能ですよね。それにそもそもダイソーに開封の儀を求める消費者もいません。

 

また、二次流通が盛んになり、ルイヴィトンのバッグもグッチのマフラーも、シャネルのスカートも、見つけようと思えばメルカリやヤフオクで買えるようになりました。そうした世界にあって、ハイメゾンは徹底的に美しい梱包を通じ、ワクワクを自宅に持ち帰り、開封の儀を執り行い、買い物体験を生活に持ち込めるよう設計しています。

 

だって、ワクワクしますよね。買ってから届くまで、あるいは持ち帰るまでの興奮が持続。美しいラッピングにうっとりして、しかも箱だからパカパカ開けたり閉めたりして何度も楽しめるし、大切に取っておけます。メルカリじゃ買えない価値なのですよね。

 

「箱」とSDGs

 

でも、私藤田は個人的に思うのですが、あまり「箱」を大事にしていると堂々と言ったらいかん気がします。だって、SDGs的によろしくないし、環境活動家が怒って怒鳴り込んでくるような気も・・・。

 

そもそも、ハイブランド、ハイメゾンという存在が、エコではないのかもしれません。また、世界観があるので、アルコール除菌でつねにシュッシュしていたい私たちの生活様式とも相容れない存在です。まあ、非日常が売りなので良いのかもしれませんが・・・。

 

ビジポコの学び

 

元関西人である私なんぞは、「過剰な梱包いらんから、安してや」と思わなくもないのですが、高く売ることを目指している方々はむしろ真逆の方向を目指していると。箱。箱と美しいプロの梱包がプレミアムな体験につながると。

 

「なんだかDXっぽいなあ」とも思います。体験をデザインしているからです。箱の原価がいくらで、環境への負担がどうで、といいたいのではなく、ワクワクを持続させる体験として、結果として箱があるというだけです。箱ありきじゃないのです。

 

休日の、何気ない街ブラ。ルイヴィトンもダイソーもQBハウスもユニクロもマクドナルドも無印良品も、すべて揃っているコンパクトシティ千葉で休日を過ごしながら、そんなことを妄想し、編集長ヤスと話し合っていました。

 

できあがった髪型だって悪くありません。QBハウスだけで切り続けるのは不安なので、別の美容室と数ヶ月おきに交互に通えば、ある程度ちゃんとしたヘアスタイルを維持できるのではないでしょうか。

 

デフレが続いてコストが下がり、生活の利便性が究極にまで高まって、買えないモノはなくなりました。ただ私たちはそうなるとプレミアムな体験が欲しくなります。くり返しますが箱が大事なのではなく、「体験をデザインした」結果としての箱であり、表象としての梱包なのです。

 

【ビジポコの学び】

●体験をデザインすることの重要性

 

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ライター藤田は、ウニ屋の娘です。創業者である母親が国の専業主婦1円起業枠でゼロから立ち上げた北海道根室市のウニ屋の娘で、ディスカッションを楽しく学びある記事に仕上げます。

 

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