陰謀論の動画にハマる原理と、ビジネスの根幹

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陰謀論を楽しむコツは、信じることから始めること。

誰がいったわけではないけれど、僕はこれを信じている。
陰謀論は楽しむものであって、誰かに迷惑をかけるためにやってはいけない。

例えば、アポロ計画で月に行ったのは嘘で、あれば全てハリウッドで撮影されたものだ〜!と酒を飲みながら検証動画を嗜むのはいい。でも、それをビラにして近所に配り始めたら、それはアウトだ。

 

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こんにちわ。編集長河上です。

今回は、「温厚だった妻、陰謀論の動画にはまり「まるで別人に」…[虚実のはざま]第4部 深まる断絶<4>」を肴に、宗教、洗脳、デザイン(役に立つ)、データとデジタル技術を絡めた雑記事です。

 

陰謀論にハマる人は、なぜハマるのか。謎を順に解いていきましょう。

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陰謀論を楽しむコツは、信じることから始めること。

信じることから始める、と書いたのだけどこの行動そのものは、宗教への入信と全く同じ。もっというと、商品購入は全て信じることから始まる。
信じるためにレビューを読み、プラスのコメントで広告通りかを確かめて、マイナスのコメントで想定外のダメポイントがないかを探す。で、信頼して購入する。
購入後に信頼が深まることもあるけれど、まず購入者側が「信頼する」ことから全ては始まる。

では、なんで信頼するのか。
それはなぜ商品を購入するのか、なぜ宗教にハマるのかということの裏返しでしかない。
なぜ、信頼するのか。
それは、必要だったから、でしかない。
なぜ必要なのか理由は人それぞれ。
でも必要でなければ話は聞かないし、信頼したとしても購入したり、主義主張を喧伝する役目を積極的に担うことはない。

必要だったから。
これ以上の理由はない。

日本で大事件を起こしたオウム真理教の、メインの集客方法は書籍だったという。
人生に悩み、疲れ、色々と探すうちに「これだ!」と見つけたのが、彼の組織が書いた本だったわけだ。本を読み興味を持ち、道場に訪れる時にはもう入信する気満々。

これと同じことを、例えばコンサルティング会社はやっている。
問題を解くための解決策を示しす本を書き、その内容に感銘を受けて話を聞こうとしてそのコンサル会社に電話をする頃には、買う気満々なわけだ。

必要だからこそ探し、他の方法論は役に立たず。だからこそお金を払ってまで情報を集めるために書籍を購入する。顧客の行動そのものは、オウム真理教に入信するときも、コンサル会社に数億円払うときと一緒だ。(結果は大きく違うけど、結果に至るまでの行動は同じ)
お金を払ってまでして得た情報なのだから、基本的には信頼してかかる。それが人間の行動原理の1つだからだ。人は痛みを感じて得た結果を自身にとって意味にがあるものにしようとするものだからだ。(ちなみにこれを悪用して、合コンで女性陣に高めの金額をもらうと、LINE交換率をあげている悪いヤツが昔友人にいた。)

新規事業検討をする上で、宗教を参考にする人はまぁいないと思うのだけど、人類史上最高に成功しているビジネスの1つは明らかに宗教だ。
ググると、キリスト教徒は23億人いると出てくる。ここまでの顧客リストを持っている企業はそうそう多くない。
GoogleのGsuiteでさえ、アクティブユーザー20億人なので、23億人はものすごい数だ。他の派閥の宗教も合わせると明らかに世界で最も成功している類だ。

この記事に出てくる陰謀論にハマった人たちは、それが彼らにとっての救いにつながったからこそ、陰謀論を真実として支持するという具体的な行動に出ている。
支持するどころか、その教えを布教するあたり、宗教と構造は変わらない。
しかも問題なのは、このハマった人たちは、ハマるまでの環境にあったもの全てが役に立たなかったわけだ。だから、結果として、ハマった。
なので周囲の人の言うことなんて、聞くわけがない。だって役に立たなかったのだから。

そして、信じる内容=自分にとっての神様を否定されるからこそ激昂するのであり、論理で説得しようとしても改宗するわけではない。
例えばタリバンに、女性活躍推進はどれだけいいことなのだと説明しても、話を聞いてくれたとして彼らの行動を変えさせることはできないだろう。下手したら、話をしに行った段階で銃撃される。信仰とはそれだけ人の行動を劇的に制限する。

陰謀論宗教のビジネスモデルのタチが悪いほどの秀逸さは、Youtubeのアルゴリズムが拡散機として機能し、しかも広告が収益源なのとなっていること。
世界最高レベルの「興味のある人を探しだして広告する機能」を1円も払うことなく利用している。どこかの宗教のように、自転車に乗って個別訪問をするなんてことは、過去の遺物となる。大学サークルでの宗教勧誘など、Youtubuのアルゴリズムに比べたらおままごとだ。

しかも動画の広告で収益を得るので、それを見るひとは最低限スマホを持てればそれでいい。直接信者からお金をもらうわけではないので、信者が経済的に富む必要もない。
というか、Youtubeが人生に組み込まれている人は、どうでもいい暇つぶしの娯楽にお金を払えない可処分所得がほぼない貧困層、経済的に虐げられている人だ。
だからこそ政府や大企業、金のある金持ちの陰謀に仕立て上げると、ものすごく刺さるのだ。

コロナ禍で生まれた負のビジネスだけれど、違法行為ではない。
なので新興宗教に家族がとられた、キャバクラ狂、ホスト狂と同じようなものだ。
客観的に見るとそこに救いはない。
でもハマった本人の主観からすれば、そこにしか救いがない。

新規事業屋として語れるのはこの辺りまで。
ここから先、いかに戻ってきてもらうかは、そのまま脱洗脳と同じ技術が必要になる。
論理的な説明や、強制ではラチがあかない。

脱洗脳とは、いいことのように思えるけれど、いってしまえばこちら側の世界を信じるように再洗脳することに他ならない。なので、洗脳するための技術が必要になる。
このあたりは、オウム事件で脱洗脳を担当した苫米地さんの著書が詳しいのでそちらに譲る。

陰謀論から引き戻すために脱洗脳技術が必要で、日本随一は苫米地さんだとは普通は辿り着かないと思うので、長くなったけど書いてみた。
もしハマっちゃった人がいたら、その人にとってはその陰謀論が唯一の救いだったことを理解し、多様性として尊重するか、もしくは逆洗脳を仕掛けるかをしてください。

ちなみに、編集長河上はトランプが選挙に勝ったと信じているし、月間ムーだって買わないし読まないけど今月は何特集だろうと気になる。

ちなみに今月の特集は、天空の城「浮揚大陸マゴニア」の謎。
マゴニアってなんだよ?!と気になったあなた。陰謀論を楽しむ素質があるので、ぜひ月間ムー10月号を買ってみてください。
陰謀論を楽しむコツは、信じることからです。

 

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