
ビジポコ編集長から役立つ思考を学ぼう!のコーナーです。
ソーシャルディスタンスをとるのが当たり前になり、インターネット(ウェブ)が誰にとっても身近になりました。10年前はウェブとリアルは乖離して別の世界でしたが、ほとんど融合し、コロナ禍でむしろウェブが実社会を先導するほどに進化しました。
しかしそこでさまざまな“きしみ”が生じます。とくに興味深いのが“誰を信用したら良いか”という問題です。実社会は微妙に層ができているので似たような人とばかり関わりますが、広いウェブの世界ではあまりに多様な人がいすぎて、いろいろな人がいろいろなことをいうので、誰を信用したら良いかわからないですよね。
自分としても疑われて暮らすのはストレスがたまりますし、信頼されて信頼し合って、生きていきたいところです。今回は“信用されるには?”というテーマでお届けします。
結論からいうと、「why」に答えていく。そのwhyとは日常で探せるわりに、ちゃんと設定できれば信用につながる存在。Whyとは?探していきましょう!
「あなた何する人?」という問い
今はコロナであまり話すのはよしとされませんが、一般的な社会を考えてみてください。飛行機や新幹線に乗っているとき、ぐうぜん隣合わせた人から「何をしている人ですか?」と職業を聞かれるシーンって結構あると思います。
これは別にビジネスの詳細を根ほり葉ほり聞きたいというわけでもなく、何をして社会的信頼を得ているのか知ることで、目の前の時間を安全なモノにしたいという欲求からだと考えられます。
他にも、実社会でもウェブでも、誰かとはじめてちょっとした話をするとき、何をしている人か問われるシーンがあると思います。
「何をしている人ですか?」
と聞かれたとき、職業をそのまま答える人って多いと思うんです。「ライターです」「フォークリフトの運転手です」「サラリーマンです」「自営業です」「ホームページ制作をしています」「お豆腐屋さんです」「ウナギ屋の女将です」「サーフィンの先生です」・・・。
ビジポコ編集長河上によると「WhatやHowを答えられる人は多いんです」とのこと。ただ、Whyで答えられる人が少ないと。
Whyとは・・・?
人にいえる綺麗な言葉を探していく
たとえばフリーランスのライターなら、あなた何する人の問いに「文章を書いて暮らしています」と答えることになりますが、それはWhatやHowになってしまうと。
一方、Whyで答えるとすごく信用につながると河上はいうのです。
たとえば、藤田は10年前、統合失調症という病気にかかり職場をクビになりました。お金も尽きて数ヶ月福祉のお世話になりました。。。とても苦しかったので、もう二度とあんな思いはしたくないのです。だから、今、とってもきつい日があるとしても仕事をし続けています・・・
こうかな?
と聞いたところ、それはwhyではない。【原体験】だと。
「Whyは、日本語にすると『なぜ』。ですが、whyで応えるべきことは、『何を目的として行っているのか』です。
『なぜ』だと、過去にあった原体験を答えがちになります。『何を目的として行っているのか』では、過去ではなく、未来の話を答えます。
この過去のきっかけ、取り組みを始めた本当の理由には、綺麗な話も汚い話もあります。そこを素直に言おう、ということではないのです。
嘘はダメです。過去にあった出来事から、より良い未来として何を得ようとして、仕事を選んだり、生きているのか。それがwhyで答えるべきことです。
Whyは外に伝えるので、ポジティブな言葉を選びながら、どうありたいか、どういう世界をつくりたいかを伝えていきます。
そうして、何を信じ、何を目的に生きているのか、仕事をしているのかがわかることで、聞いてくれた人は信頼を寄せてくれるのです。」
たとえば、みんなが大好きなAppleはwhy探しがとても上手い。
AppleのWhyは「世界を変える」ことが目的だと彼らはいいます。
Howは「デザインの力を使って」。
Whatは「この素晴らしい製品、サービスができたのです」と伝えています。
「Appleの仕事は全て、世界を変えるために行っています。世界を変えるために、我々はデザインの力を活用します。そうして素晴らしい製品ができました。おひとついかがですか?」
一方で普通の企業、DELLやHP、日本の富士通、NECなどは「素晴らしい製品ができました。優れたデザインです。おひとついかがですか?」というだけで、Whyを答えていないと編集長は指摘するのです。
この違いが、世界時価総額1位という結果をAppleにもたらしているのです。
たしかに!たしかに「しゅごいこんぴゅーたーできた!買って!」は、Whyじゃない!!!!!!と私はまたものけぞってしまいました。Whyに答えられているAppleと、そうではない日本メーカー。明暗は分かれすぎるほどに分かれています。
たとえば、編集長自身には、「お金では買えない美味しいコーヒーを飲みたいから、いろいろな人にデザイン思考を伝えていく」というWhyがあります。日本が再びNo1と呼ばれた日の朝には、最高のコーヒーが飲めるはず。そのために普段のコンサルティングの仕事やビジポコを通じて、日本経済を応援しているというWhy。
このように自分でもうまく言葉にできない感情。それを探していくのが大事なのです!!!!
自分でもWhyに答えよう
そこで藤田も考えました。私のWhyは「社会との和解」かなと。東京に出てきて20年。社会でうまくいかず憎しみの果てに病気になり、貧困に落ち、それでも諦めずに生きてきたら書くことで人生が向上しました。今もなおこびりついた憎しみが取れないけれど、いつかは社会と和解をしたい。。。
これが私のWhyなのかな????
このWhy、How、Whatの考え方をゴールデンサークルと呼ぶのだそうです。
【ゴールデンサークル】
「何をする人?」という問いに藤田が答えてみる
Why:人同士が繋がり、前に進む社会は素晴らしいと信じます。
How:その世界を実現するために、私は文字、単語、文章のリズムといったペンの力を使います。
What:そうしてクライアントの気持ちを伝える素晴らしい記事を作り上げます。すべては社会の和解のために。どうでしょう。私にライティングを依頼いただけませんか?
ゴールデンサークルの教科書的な使い方↓は、
Why:何を信じ、何を実現しようとしているのか。Whatに時間や情熱を使う理由、目的。
How:他者、他社との違い。Whyを実現するために使っている観点や信念、知識、技術、機能。物理的には目に見えないモノ。
What:物理的に目に見えるもの。いわゆるアウトプット。製品やサービス。
日本のWhy
さらに編集長河上とこのWhyの話についてディスカッションしました。
就活の時、「志望理由は?」と聞かれて「お金と休みとステータスです!」と本音をぶちまけないのと同じだといいます。会社に入って何をしたいのか、未来を語る。それと同じだと。
とくに、ビジネスシーンでこれが大切なのは、人は法人をうまく認知できないから、という特性があるからだとか。法人や公人、芸能人などは、ストレートにはっきりと言葉を打ち出さないと伝わらないのです。その明瞭さがゴールデンサークルとなります。
リーダーが-人を惹きつけるためにwhyは必要です。
かつてキング牧師が「I have a dream」と言い、黒人が差別されることなくみんなで平和に暮らす未来を提示しました。彼の活動の全ては、この夢を実現するためにある。
それを聞いた個々人がそれぞれ個別の夢を見て、別にお願いされたわけでもないのに、共感して勝手に手伝ってくれる。
日本のリーダーにはwhyが欠けていますね。そして日本人はこの「何をする人?」の問いにwhyで答えられないから、whyに答えるのが苦手だから、誰かのwhyに乗っかって、同じようなwhyばかりが生まれて、均質化したサービスしかできないと。。。
Whyが探せない人へ
「実はwhyは何でもいいんです。ちっちゃくてもいいですし、一週間で達成できる何かでもいいんです。Whyは価値観を問わないので、なんでもいい。」と河上はいいます。
日常からちょっとずつ練習していけばいいと教えてくれました。
一週間で達成できるような・・・そんな小さなwhyから探していけばいいとのことです。それをくり返すことで、自分がwhyに設定しがちなものも見えてきます。そのwhyの積み重ねが、自分自身の“偏り”なのです。
日本は総理大臣ですら、whyをうまく設定できない現状。
whyを打ち出すことで、ウェブでも飛行機で隣り合った人とでも、信用を構築して楽しく生きていけるはず。最初はまねっこでもいいので、ちょっとずつ探していく。
みんな同じwhyになるなんてつまらない!差別化していきましょう!
編集長のwhyは「再び、世界が”Japan as No.1”と呼ぶまでに成功があふれた日の朝に、コーヒーを味わう」
ライター藤田のwhyは「人のつながりをペンで実現する」「社会と和解する」
ウニ屋を営むうちの両親なら、whyは「苦労している都会の人に美味しいウニを食べてもらって、『生きていて良かった!』と思って欲しい」
かなという結論がでたところで、今日のビジポコはこれで終わりです。
ぜひ、探してみてください。きっと見つけられる、自分だけのwhy。なぜ働いているのか。どんな世界をつくりたいのか。その答えがでたとき、見えている景色が変わるはず。