
ビジポコ藤田です。
藤田の実家は北海道でウニ屋さんを営んでいます。
1995年の阪神淡路大震災でダメージを受け、家族が北海道・千葉・神戸とバラバラになり、それから25年みんなとても苦労しました。同じように今頑張っている人たちにウニを食べて「生きていてよかった」と思ってもらいたい。そんな気持ちでやっているのです。
豊洲市場を代表とする全国の公設市場に卸したり、根室市のふるさと納税で喜ばれたり。一生懸命頑張っています。
さて、私は千葉でウニ屋さんの個人注文を受け付けるネットショップをオープンしました。ご祝儀で売れ、お客様がやってきて注文してくれたのです。のんびりお店屋さんごっこをする私に夫はハッパをかけ、「大きくしよう」といいます。
ネットショップを大きくする。それをビジポコの編集長で、新規事業/DX/デザイン思考コンサルタントの河上に相談してみたところ、「大きくしようと思ったら、億の商売にはなるでしょうね。年商3億円ぐらいでしょうか」と。
今回は、ウニのネットショップを大きくする前に、ビジネスでもっとも大切な、複利の感覚。それをお届けしたく思っています。とはいえ、読んでくださったみなさんの役に立つ話を心掛けますので、どうかお楽しみに!
もくじ
『犬をかこっている柵』という概念
「年商3億円~とてつもない金額だ…」とぽかんとする私でした。しかしそれは「どれだけ腹落ちして考えられるか」だと河上はいいます。
「『犬をかこっている柵』という概念があります。犬は柵の中で育つと、大きくなって柵を倒したり、越えられるようになってもそういつことはしません。柵がある→諦める。この思考しかない。柵を易々と越えられる飼い主を見ていても、自分(わんこ)は出来ないと思っていたら、挑戦すらしない。
3億円の売上は、1万セット売れたら達成できます。
これを無理だと思えば、柵を眺めてワンコと同じ状態。
1万セットの販売ぐらいは当然できるよね、と思えば挑戦できます。このできるかどうかを腹落ちさせられるかが鍵です。」
と。
確かに、「どこまで腹落ちして本気になれるか」は、このビジポコの初期でも学びました。自分自身が「やれる!」と強く思うことで、その先にある困難に打ち勝てるはずです。
そもそもなぜ働くのか
そしてそもそもなぜ働くのかという問いに対して答えを持っている必要があります。
「究極的には、移住してくれたらお金をくれる町に引っ越し、山菜採りと魚釣りをすればいきていけます。でも、それでは嫌なわけですよね。人生の究極は暇つぶしではありますが、あほみたいにある時間をひとりでポツンと山菜を採ってるだけじゃいやだと思うわけです。じゃあ、仕事をしたいと。人の役に立って、仕事さえも暇つぶしになる中、何をしていくか。。。」
たしかに、なぜ働くかの意味付けが必要です。そう考えると、仕事を取り上げられるのは困りますね…生きるために必死で働いてきましたが、山菜採りと魚釣りだけの生活は避けたいところです。北海道の海産物や北方領土のウニを食べると「生きていてよかった」と思えますので、いま困難の渦中にある方に、ぜひ味わってもらいたいという思いはあります。
複利でまわしていけるのがビジネスの利点
「ビジネスは複利で回していけるのと、その回転速度を自分で決められることが利点です。そのために現金をどこに使うかも判断次第。そのため、経営に上手い、下手があります。新しいビジネスをするとなると、社長クラスの手が空いて参加できることがなにより肝心。」と河上。
時間を作って、新しいことに突っ込んでいく。
そうまでして経営をする意味とは? それは喜ぶ人を増やしたいから。
「ウニ美味しいよね」とたまに買ってくれる人を増やすのではなく、「ウニで食卓の祭りを開くとやばいよね」といってくれるコアファンを増やす、1000人に売って10人のコアファン。1万人に売って100人のコアファン。
そうした先に、年商3億円と、100人の強烈なコアファンができます。そうなればビジネスは勝つのかもしれない。経営というゲームに勝つわけです。
編集長河上は、先日、川崎重工の方と複利の話をし、「複利で増やす事こそが大事。難しいけどね笑」という結論になったそうです。
不安定さが富の源泉
ところで、「不安定さが富の源泉」とよく言います。この言葉が気になっていた私は、河上にどういうことか聞いてみました。
すると「安定していると収入がよくないのです。物事の始まりは怪しさや不安定さがありまく。不安定なので、商機を見出した限られた一部の人だけが参入します。そこでボロ儲けをしている話をきき、徐々に参入する人や企業が増えるとマーケットは安定期にはいります。売り手が増えればある程度のラインに価格が落ち着くからです。
たとえば、コロナ初期のマスクを考えてみましょう。あの頃にマスクを持っていたら非常にいい立場だったわけです。コロナが始まったころのマスク需要はすごく、かつ輸送網が崩壊したのでマーケットが完全に壊れたわけです。その時に中国からトランクにマスクを詰めて世界に飛び立ち、1枚50円ぐらいで売りさばいたら大儲けできます。しかし、しばらくすると経済産業省から補助金をドバドバだしてマスク製造機械の国内での導入が進み国内生産品が徐々に出始めます。そして、輸送網がある程度回復し安定供給されてくると、マスクの販売は儲からなくなりましたよね。値段が下がるわけです。
こういう仕組みを不安定な方がお金になる、と言うのです。」
なるほど、、、、安定は人が殺到した結果として売値が下がっている状況で、反対に不安定だからこそ商売を始めるひと少なくて儲かるのですね。不安定さこそが富の源泉になることが理解できました。
年末にかけて高騰するウニ
ウニはネットショップでも売れることがわかりました。
半月で売り切れになるレベルで売れたので、これからも入荷のたびに売り切れる、ということは続くかもしれない。しかも年末年始は市場価格が高騰しますから、仕入れて販売するウニショップでの値段も、それにひっぱられて高く値を付けることになります。10月販売11月発送分を買えた人はラッキーですね。これからはどんどん手に入りづらく、さらに値が上がってしまいます。
これは別にウニ屋が欲をかいているわけではなく、単純にモノがないのと、都心部を中心にみなが高級鮨店を利用するので市場でウニが取り合いになっているのです。
小売りのウニショップではなく、ウニを加工して市場に卸すウニ屋は、年末の高騰で1年の赤字を回収するモデル。とはいえ、かならず年末に高騰するというものでもなく、「今年はダメやった…」という年もあるのがやっかいなところ。
土用丑の日マーケティングにあやかろう
相場のものなので、値段が高い日もあれば低い日もあります。市場関係者はみなそれに振り回されることとなるのですが、河上は「土用丑の日を作った平賀源内みたいに、何か仕掛けを打ってはどうですか?」といいます。
もともと時期外れでうなぎがで売れない時期に、マーケティングとして始まった土用の丑の日。
「土用は丑の日!」とみんなが思うから、土用にウナギがバカ売れします。同じように、ウニの値段が低い時期に、ウニで食卓をお祭りにする文化ができれば、安定的かつ高い値段で売れるのでは・・・?
ついつい、事業者側の都合ばかりみてしまう私でしたが、このビジポコの最初で習ったように、「仕事は人の役に立つこと」が基本です。ただ勝手に「ウニの日」を登録すればいいというものではありません。日本記念日協会に15万円の登録料を納めて終わってしまいます。(参照:日本記念日協会)
人の役に立つこと。人の役に立っていきたい…基本に立ち返りながら、何か考えようと思います。
ビジポコの学び
「自分ならできる!」という腹落ち感覚。そしてなぜ働くのかという問い。ビジネスの複利。不安定さが富の源泉…。今回もいろいろ学びました。目の前に100万円あったとして、年間4万円以上の利益を出せるのであれば、きっと米国株に投資するよりも商いに投資したほうが利回りはいいことでしょう。もしも利益を出す自信がないのであれば、素直に米国株などをスマホでポチポチしている方が無難です。
「投資は買うだけだから簡単で、ブームになっています。」と河上はいいます。商いは嫌なこともありますし、自分のよくない面と対峙する必要もあるし、どんな善人もお金を目の前にすると過ちを犯します。一方、株は買うだけ。傷つかないで利回り4%もらえる。買うだけだから簡単だという河上の意見に加えて、傷つかないので楽ちんという感じも私はしました。株は傷つかない。でも、商いは傷つくこともある…。
ただそれ以上に、売れたときの喜びは大きいものです。傷ついても、売上はそれ以上に癒してくれます。腹をくくったところで、続きます。