金か滅私奉公か。行き着く先はビジョンである

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ビジポコ編集長・河上にお仕事に深く関わる価値観について聞いてみようのコーナーです。

 

世の中、ビジョンがあふれています。「社会を変えたい」「かつての自分と同じ境遇の人を救いたい」「心のこもった、うちの美味しい品を食べて幸せになってもらう人を増やしたい」・・・。

 

一方で、SNSなどでは働く個人の本音も目にします。「とことん儲けて、理不尽な目に遭わせたあいつを見返したい」「都会を見下ろす高層マンションに住んで偉ぶりたい」「世の中が信用できないから、お金を稼いで不安をなくしたい」などなど。結局はお金が必要であるという声です。

 

暮らしていくためにお金は必要です。世の中には儲けている人もいて羨ましいと思う気持ちもあることでしょう。活躍している人をみて、ふがいない自分と比べてじりじりと焦げるように嫉妬することがあるのではないでしょうか。

金か滅私奉公か。今回のビジポコは、この根深い問題についてデザイン思考で解いていきます!

【ビジポコの学び】

●お金を追い求めないと、質が低下し続けて本物が殴り込んできたときに負ける
●利益を出しながら、質の高いモノを無料で開放していくのが理想的

 

お金か社会貢献か。

 

ビジポコ編集長の河上はいいます。

 

「世の中には2種類の商売人がいます。『合法的にお金が儲かれば、何でも良い』と考える人か、『自分はこういう世界を作るために、お金が必要である』と考える人か。商売の行き着く先はビジョンなんです。」と。

 

商売の行き着く先はビジョン。

 

個人的な話になってしまいますが、ライター藤田の夫がコロナで倒れ集中治療室に入り、命が助かったとき、私の母はいの一番に「集中治療室に入れず苦しんだ人もいるかもしれない。世間に感謝して生きてください」といいました。命が助かったことを喜ぶよりも、まず他の人のこと。

 

母は一事が万事この調子で、とにかく私に「お前の感情はいいから遠慮して生きろ」というメッセージを投げかけてきます。そう言われて育った私は、大人になった今でも自分を大切にすることがいまいちできないでいます。

 

独立してライターを始めるまでもそれは同じで、とにかく滅私奉公で遠慮して遠慮して遠慮して、人に譲って譲って譲って生きてきたつもり(あくまでつもり)でした。職場でも同じだったのですが、驚くほどうまくいきませんでした。人からは理解されないし、誰も寄ってこないし、寄ってきた人からは搾取される人生。仕事はできないし、私生活もパッとしない、譲りすぎた結果、30代半ばまで全然うまくいかなかったのです。

 

それが、30代で夫と出会い、彼の「仕事は金を稼ぐために時間を切り売りするもの!」という思考を受け取り、それが自分自身の滅私奉公主義と混ざった結果、仕事がうまくいくようになり始めたのです。喜ばれてお金を受け取り、自分も堂々と豊かになる、そうしたサイクルが回り始めた気がします。

 

夫はいいます。「どんな善人もお金の前では判断が鈍る。お金がからむとあやまちを犯す。」と。そうした思考をたたき込まれた私は、信頼関係を構築しつつも、お金のことだけは信じないというスタンスで仕事することにしました。

 

ライター界は搾取と不誠実に満ちています。特に顔の見えないクラウドソーシングの初期はそれが露骨で、本当に嫌な目に遭いましたし、今も嫌な目に遭っている人が大勢います。でも個人的には比較的うまくいきました。夫の教えを忠実に守ったからです。

 

金額だけで判断する人達

 

この体験をビジポコ編集会議で編集長の河上に伝えたところ、河上はあることを教えてくれました。「お金より貢献」と思い込んで自分をないがしろにしていたかつての会社員時代の自分に伝えたい話です。

 

「信じるものが近ければ、友達になりやすいですよね。仕事は究極的には自分のためにするものです。ウニ屋を営む御母様だって、倒産はしていないし、自分がゼロというのはありえないわけです。滅私奉公で私がゼロというのは、ないんですよ」

 

「そして、お金を追い求めなくなった瞬間に品質が低下していきます。無料だから、低価格だからという理由で買い手の目も曇るのです。値段だけを見る人ってどんな人でしょうか。それは、『価値のわからない人』です。価値がわからない、基準の低い人を喜ばせるためにそうした人がわんさかよってきてそのために働くので、こちらも技術が上がらないのですよ。そうして低迷した結果、本物が殴り込んできたときに、勝てなくなるのです。

 

まわりのためだけに振り切りすぎると・・・

 

もしかしたら、これをお読みの方の中にも、過剰な滅私奉公でうまくいかない体験を抱えている人もいるかもしれません。ただ本当にやりたいことをやるためにプロボノ(ボランティア)がてら無料案件をやることはビジポコ編集長河上もあるようです。

 

河上「品質を担保しながら、質の高いモノを解放していくのが理想的で、“まわりのため“、”人のため“に振り切りすぎると、良くないループにはまってしまいます。」

 

といいます。そうか、かつての私の過剰な滅私奉公主義は、良くなかったんだ。そして良くないということすら、自覚していなかったのだな・・・。

 

美しさも人のため???

 

仕事も人生も上手くいってなかった10年前。私は懲りずに就活をしていました。合わない勤め人などやめておけばいいものを、雇われること以外の考えを持たなかったのです。ただ、夫に出会ったばかりのころ、夫は「ダイエットも就活のひとつだよ。男がビビるぐらい美しくなれば、仕事も就活もチョロい」といったのです。

 

「ほんまかいな」と思いつつもダイエットし、化粧品の力を借りて身ぎれいにして就活したところ、スコンと仕事が決まりました。(ただやっぱり上手くいかず、早々に辞めてしまいましたが。)

 

「男がビビるぐらい美しくなれ、そしたら仕事なんてチョロい。」

 

あけすけな話ですが、10年前そういわれたのを覚えています。この話を編集会議で河上に伝えるとまた本質を教えてくれました。

 

身ぎれいにすることもまわりのためなんですよ。まわりのために、自分が気を遣うということなんです。昔は工場などで『3日に一度はお風呂に入れ』という服務規程があったんです。人々の自宅にお風呂がなく、公衆浴場に行くとそこそこお金もかかったので、入浴習慣がない人も多かったんです。昔はお風呂に入るだけで身だしなみでした。そこから、ヒゲを剃れ、化粧しろと、進化してきたんです」

 

つまり、「どこまで相手のために答え続けるか。相手のために気を遣うか。身ぎれいだとベネフィットをどの程度自分が得られるか。」だというのです。なるほど!!!!!

 

ビジポコの学び

 

世の中は金か滅私奉公か。お金と品質を両方追い求めることから逃げていてはいけないのです。「私が!私が!私が!他ならぬ私が幸せになるために、うちの品を買ってくれ」という人はいませんし、そういう人から買う人もいません。デザイン思考では『仕事とは人の役に立つこと』『欲望と夢は混ぜてはいけない』と習いました。

●お金を追い求めないと、質が低下し続けて本物が殴り込んできたときに負ける
●利益を出しながら、質の高いモノを無料で開放していくのが理想的

己を投げ出してまで人のため(という名の自分のため)に頑張っても、ボロボロになっただけで終わったかつての自分に聞かせたいです。

 

 

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