
ビジポコ編集長に価値の本質について教わろうのコーナーです。
「ポイ活」をご存じでしょうか? ポイントをもらう活動、略してポイ活。実は乞食活動をする”コジ活”ってのもあるのですが、コジ活はおいといてポイ活は楽しいですよ。あちこちでポイントをもらって貯めてはニンマリしている人も多いのではないでしょうか。
しかし、ポイ活には様々な思惑が絡んでいます。
今回のビジポコは、ポイ活と適正利潤とコピー品の話です!
先に結論を述べると、「ポイ活は脳の報酬系をハックしている」「コピー品は本物の利益が出すぎるため生まれる」です!
もくじ
ポイ活で買ったトレーナー、990円也
一生懸命貯めたポイント。コツコツやれば意外と貯まるので、1000ポイントゲットした私はユニクロでトレーナーを買いました。990円也。流行のオーバーサイズでくすみ色。悪くないと思ってご機嫌でそのトレーナーを着て自宅で仕事していました。
そして夫にドヤ顔で「ポイ活で買ったの」と見せると、夫は「オフホワイトのパクりじゃん」といいだしたのです。オフホワイトって知っていますか? 先日お亡くなりになったトップデザイナー、ヴァージル・アブローのブランドです。
引用
https://uptodate.tokyo/off-white-louvre/
https://www.off—white.com/en-jp/
https://www.amazon.co.jp/s?k=OFF-WHITE%EF%BC%88%E3%82%AA%E3%83%95%E3%83%9B%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%88%EF%BC%89&ref=bl_sl_s_ap_web_8106351051
https://www.uniqlo.com/jp/ja/products/E445824-000/
確かに、似てなくもない・・・。「そっくりじゃない?」と聞いてくる夫に「ぐぬぬ」となり、せっかくポイ活で購入したトレーナーを着たくなくなってしまいました。夫は「ねえねえ、恥ずかしくないの?」としつこく迫ってきます。
本当に傷つきました。「恥ずかしくないの?」といわれたらすごく恥ずかしさがこみ上げてきたのです。
すべては中毒になるよう設計されている
私は傷つき、ビジポコ編集会議で河上にそれを伝えました。すると河上は「ポイ活はパチンコと同じですよ」といい出しました。「すべては、中毒になるよう設計されているんです」と。
ぱぱぱぱぱパチンコと同じ・・・どういうことでしょうか?
「脳の報酬系を刺激するように設計されているんです。他にもツイッターも同じです。ツイッターのタイムラインは下にぐっとひっぱると最新タイムラインが更新されます。そこで少し待つわけですが、その瞬間にユーザーはドーパミンがドバドバ出るんですよ。もっと早くリロードすることも技術的にはできますが、あえて待たせると夢中になってくれるんです。」
「これは、大昔私たちが狩りをしていたころ、飢え死にしないために獲物を見つけると『やったー!』と興奮したのと同じ仕組みです。脳の報酬系をハックして夢中にさせる仕組み。いわばパチンコです。すべてのアプリが行き着く先はパチンコなんですよ。ポイントがゲットできると、やったー!となるわけですよね」
な、なんかさらに恥ずかしくなってきた・・・ポイ活に夢中になっていることが、パチンコにのめり込んでいるのと同じだなんて・・・。
「でも、生活に支障を来さない範囲なら、いくらでものめり込んでいいのではないでしょうか。生活に支障がでるところまでいくとよくないですが。我々はみな何かの中毒になっています。健康マニアだって健康中毒になっていますから」
オフホワイトとユニクロと。
ユニクロ(あとしまむらも)が露骨にオフホワイトのトレーナーをまねっこしている件ですが、河上は「トレーナーに本物も何もないですし、スマホだって最初はアップルがiPhoneを出してからAndroidが出ました。Android派だっているわけです。「本物のスマホ」があるわけじゃないので、品質に問題さえなければそれでいいのではないでしょうか。自由にトレーナーを着て良いと思います」といいます。
「悪貨は良貨を駆逐する、なる言葉がありますが、本当に良貨であるか怪しい場合もあります。高いモノ、利益率の良すぎるモノは、偽物が出回る余地をつくってしまっているのです。」
利益率の高いものはコピーされる
「服は布と輸送費が主なコストになります。地球の裏側で作って日本に運んできても、日本製より安くできてしまう。だから日本より人件費の安い国々で、となります。実際により安さを求めて縫製工場はバングラディシュなどの国々に工場が移っています。安い賃金で無理矢理作って運ばせているから、縫製工場のビルが倒壊して死亡事故も起きるほど。途上国に仕事が落ちていきがち。それをグローバルサプライチェーンでより安く、よりそこそこに作ってるんです。だから、アパレルは90%オフとかができてしまうんです。」
「中国では、縫製工場で100着作れる能力を『80着できました』といって本国に送り、残りの20着をバッタモンとして売っています。だから安く売れるんです。コロナ初期のマスクも同じでした。マスクを同じ構造で非正規のルートで売ると。闇ルートのマスクが出回っていたわけですね。」
「そして何より、適正利潤のものはコピーされないんです。ぼったくりとはいわなくとも、利益率が高すぎるとコピーされてしまいます。利益率が高すぎるビジネスを追求すると、コピーが生まれてしまうんです。」
うーん、故ヴァージル・アブローは儲けすぎていたということか・・・。
価値が理解できないから安物で良いとなる
さらに河上は続けます。
「ユニクロのやっていることは合法なわけです。良いデザインのものが安く売っているので問題はなにもないと。最後は買い手の人たちで、『似てるモノを安く買う』のは価値が理解できないから。本物があるとすら知らないから『え、本物があるの?』となってしまう。」
うぐぐ、私のポイ活・・・
「藤田さんの場合は、予算の枠で買ってるわけですよね。貯めたポイントで。コツコツ貯めたポイントで買い、やったーとなったところに『恥ずかしくないの?』といわれ、パチモンでいい!とは主張しづらいのでぐぬぬとなったんでしょう笑」
価値が理解できない・・・たしかに私は1000ポイントの枠内でしかもセール中のトレーナーを、「一番ましっぽい」という理由で選びました。オフホワイトの素敵なトレーナーの価値がわからないから、いや、存在すら知らなかったので、オシャレ番長(夫)に指摘され、とても恥ずかしくなったのでした。うーん、悔しい!
ビジポコの学び
河上はいいます「我を通してどんどん着ていけば良いんじゃないでしょうか!」と。その際に少し「クスクス」と笑ったような気がしましたが、Web会議ごしなのでこちらの被害妄想かもしれません。
夢中になるポイ活の話から始まって脳の報酬系をハックされてしまっていること。Twitterだって中毒になる仕掛けがあること。儲けすぎたからコピー品が出回る余地を作ってしまうこと。いろいろ今回も学ばせてもらいました。
デザイン思考って日常の問題もデザインで解決してくれます。なぜなら私たちの日常はビジネスに支えられており、ビジネスは誰かの課題を解決するものだからです。大昔、狩りをしていた頃はあまりに不便すぎました。そこからどんどん様々なプロダクトを発明して生活を便利にしてきたのです。誰か課題を解くためのデザイン思考です。