モノ消費からコト消費で魅力を再発見するなら・・・?

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ビジポコ編集長に地方都市の課題を解決してもらおう!のコーナーです。

 

編集長は東京に、ライターは東京の隣・千葉県千葉市に住んでいます。千葉駅は便利で新しく、買い物にいったり、仕事が終わってからレストランに行ったりと、コンパクトシティで最高です。その千葉駅には百貨店がひとつあります。以前はいくつかあったのですが、今はひとつです。そごう千葉店といいます。

 

百貨店は利用者の年齢層が比較的高めですから、若い人を集客したいと思うのは普通です。ヤング館的位置づけとして、「ジュンヌ」と名付けられたそのモールに行くたび、気になることがあるのです。「ドリンクを持ち運びながら買い物しよう(ショッピング・ウィズ・ドリンク)」がコンセプトで、そのコンセプトにどうもモヤモヤします。なんか、飲み物を持ちながら服を買うのは違うんじゃないかって・・・。

 

否定ばかりしていては役に立ちませんから、前向きな提案として千葉駅周辺を盛り上げる方法をビジポコ編集長河上の助けを借りて、頑張って考えてみようと思います!

 

  • スタバでは、千葉推しの店の集客にはならない
  • お試し体験を提供する
  • 誇らしく思うポイントを設計する
  • シーンで考える
  • ググるとタグるの違い

誰も飲み歩きしていないそごう千葉ジュンヌ

 

ジュンヌは2017-2018年に改装してリニューアルオープンしたのですが、「ショッピング・ウィズ・ドリンク」と銘打ち、飲み物を持ち歩きながら買い物をしてもらおう(そしたら若い人来るやろ)というコンセプトで作られています。1階の入り口にはスターバックスが、1階の中にもカフェがあって、テイクアウトで飲み物を買って、うろつく下地はできています。

 

そして、ジュンヌでは各フロアに放射線状に休憩スポットがあり、またあちこちドリンクを持って通り抜けられるように店があります。

これらは、ファッションという物理的には服を売るという「モノ消費」から、ショッピングを体験するという「コト消費」への転換を狙ったのは明らかです。実際にそうニュースリリースされています。

でも、持ち歩きながら服を見ている人はいません。

問題は、なぜ失敗したのかです。

https://www.sogo-seibu.co.jp/pdf/20170802_01.pdf

 

上記の赤い〇の部分がドリンクスタンド。(しかし、誰も飲み歩いていません。)

ジュンヌは地下1階にユニクロが入っており何かと訪れるのですが、入り口の反対側に下りのエスカレーターがあり1階フロアを通らなければなりません。毎回、「ドリンク持ち歩いて買い物する人おるんやろか・・・」と思います。そして実際にいないのです。

https://www.sogo-seibu.co.jp/pdf/20170802_01.pdf

 

コンセプトが当たっていれば、ヒトが(若いヒトが)わんさか来たはずです。でもそうはなっていないのは明らか。リリースによると25億円がかけられています。からっぽの木製ベンチを見るたびに胸が痛みます。

 

なぜ失敗したのか?(大事なことなので2回

 

編集長河上「体験を考えるときの粒度が荒くて雑だったのだと感じます。ショッピングと、ウィンドウショッピングの些細な違いにこだわり、体験を設計しなかったから失敗したように感じます

 

ウインドー‐ショッピング

商店、デパートのショーウインドーなどの商品を眺めてまわるだけで、実際には買物をしないこと。

コトバンク

 

河上は続けます。

 

「ショッピング、買い物です。商品を手に取る、という言葉がありますが、わざわざお店に来てまで買い物する人は、商品を手で触り感触を確かめて気に入ったものを買おうとするのが自然だと思います。そうなると、手は空いていた方がいい。でも、飲み物を持っていたら?」

「商品を手に取れない。」

 

ショッピング・ウィズ・ドリンクという標語が、破綻しています。編集長は、これが失敗の原因だというのです。

 

むむむむ。でも、ウィンドウショッピング・ウィズ・ドリンクの人がいないのは、なぜでしょう?編集長に聞いてみました。

すると、思ってもみなかった答えが・・・

 

「ウィンドウショッピングなら、眺めるだけで買わないので、手は塞がっていても構わないです。そのためウィンドウショッピング・ウィズ・ドリンクは、論理的に成立します」

「では、ジュンヌの中を飲み物を飲みながらウロウロするための入場券に、いくら払いますか?スタバのコーヒー代は、あくまでもコーヒー代です。”ウィンドウショッピング・ウィズ・ドリンク”という体験に対する支払いは入っていません。」

 

お金を払ってでもしたい体験として作られているか。そこが重要なのだと言います。できることと、お金を払ってでも体験したいというのは、全く違うことだ、と。

 

お金を払って入場して、買い物を体験として楽しむ。

パッと思いつくのは、コストコ。もうひとつ千葉で有名なディスニーランドも、年パスの人はちょっとした買い物や、ご飯を食べにわざわざいくと聞きます。

その敷地や建物に入ることに対してお金を払うことが成立するまで作り込むことが必要。

 

今の状態のそごうだと、確かにお金を払って入場するほどではないな、と感じてしまいます。が、がんばれ!ジュンヌ!負けるなジュンヌ!!!

 

閑散としているペリエ千葉コトラボ

 

他にも千葉駅にはもう少し頑張っていただきたい場所があります。

それが駅ビル・ペリエの3階にある『コトラボ』です。ペリエ千葉は駅前の大規模再開発でこちらもリニューアルされてピカピカになっています。

 

ペリエ千葉のコトラボスペースを経由しモノレールにも乗れますし、京成電鉄の乗り場にもいけます。非常に便利なので利用者は多いのですが、コトラボではご時世おかまいなしにクッキングスタジオができたり、日本酒バーがオープンしたりと、なかなかご時世に逆らっているのでいろいろな意味で気になっていました。

 

しかも2階は(ジュンヌに引き続き)スターバックスで、スターバックスの中にある階段を登ると3階のコトラボフロアに上がっていけます。スタバが混み合っていてもコトラボフロアは閑散としており、スタバのお客さんをひっぱって来るのもうまくいっていなさそうな・・・。

 

こちらも、千葉を愛するライターとしては本当にがんばっていただきたいところ。

 

お試し体験を提供してみては?

 

参照:コトラボ

 

河上とコトラボホームページをみて語り合いました。「綺麗な写真だけど、これではインスタには勝てないですね・・・」と河上。今のコトラボのサイトは綺麗な広告でしかない。

「インスタの写真は、楽しい雰囲気が伝わるものが多いと感じます。この鯛は、単に綺麗なだけ。楽しい雰囲気はないですし、一人で真剣に鍋に向き合っているように感じます。鍋なのに一人で良いの?と思います。」

商品を売りたいのであって、”誰かと楽しく食べる鍋”という体験を売るための写真には見えません

 

「しかもこれ、お試しの体験ができずに、本店まで数十キロ運転するんですよね・・・。」

 

お試しの体験?!

 

「地元名産の金目鯛しゃぶしゃぶもすごく美味しいとは思うのですが、その美味しさのお試しができないですよね。せっかくの体験であり、コト発信。試食ができないのに6000円の冷凍金目鯛を買ってくれといってるのと同じです。一週間働いて稼いだお金。貴重な休日。外したくないわけです。」

「なので、ペリエ千葉コトラボは、本店に行ってみようと思えるような試食会場になればいいんです。」

 

「コト消費は見えている、しかし体験にはなっていない。実際のテナントはスタバと料理教室と日本酒ダイニングと。『千葉を好きに』といいながら、千葉と関係のないスタバを導入してしまう不思議さです。スタバに来ている人はスタバに興味がありますから、コトラボまで関心を流してくれないのはある意味当然かなと。」

 

誇らしく思うポイントを設計する

 

「『千葉を好きになってもらいたい』という思いはとても尊いですから、コトラボの目指す姿、千葉を再発見して誇らしく思うシーンとは?と考えていきます。こういうとき、よくあるのが『自分たちができる範囲で』やってしまう。しかし、『顧客を見る』が大事です。」

 

「『千葉県っていいんだよ』となって誰かを誘っていく先。誇りに思う先が物理的に提供されていないのです。」

 

シーンから考えていく、はビジポコでよく習います!!!!

 

「似て非なるモノも若干間違えている感じがあります。ググるとタグるの違い。(Googleで)ググると綺麗な広告しかでてこないが、(インスタで)タグると皆で盛り上がるかどうかがわかります。綺麗な広告だけじゃ盛り上がれるかはわからないから、広告にして写真の工夫が必要ですよね。ピントを合わせなくていいのですが、背景に誰かと一緒にいることがわかる何か、例ば影が写るんでもいいと思います」

 

誇らしく思ってもらうための再発見

 

「たとえば、金目鯛のしゃぶしゃぶにしても、いすみ市にあるお店の金目鯛のしゃぶしゃぶやエビ料理はどう見ても美味しそうです。じゃあ、その出店がコトラボにあれば・・・。記憶してもらえるのです。「コトラボで食べたエビが忘れられないので、いすみ市まで行ってみよう!」となって再発見が可能になる。」

 

千葉の魅力を再発見したいし、してほしい。じゃあそのために、テナントのお店の中はどうあるべきか。何年間、何ヶ月で入れ替えていくのか。そういうところから、デザイン思考をスタートしていきます。

 

なるほど・・・!

 

いすみ市の金目鯛のしゃぶしゃぶ、すごく美味しそうです。その出店がコトラボにあれば寄りたいし、美味しくて店に地図がばーんと貼ってあれば、本店も行ってみたくなる!出店が一定のサイクルで入れ替われば、千葉県の魅力再発見につながる

 

魅力を再発見してもらいたいという貴重な想いから、方法を導き出していく。そしてその方法を通じて、魅力が本当に再発見される!

 

うーん!なんか希望が見えてきた!ジュンヌやコトラボの方々に読んでいただきたいな!いつもジュンヌとコトラボを通るたび、少し悲しい気分になっていたのですが、次から希望が持てそうです。

 

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ライター藤田は、ウニ屋の娘です。創業者である母親が国の専業主婦1円起業枠でゼロから立ち上げた北海道根室市のウニ屋の娘で、ディスカッションを楽しく学びある記事に仕上げます。

 

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