新規事業のステップ。“知り合いに売れる“から事業化へ

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ビジポコ編集長・河上泰之に新規事業の相談をしてみよう!のコーナーです。

 

編集長は新規事業のコンサルタント。プライム市場に上場している会社を複数社顧客に持ち、地方自治体の町長相談役も務め多忙な日々を送りながらYouTube『ベスちゃんねる』や当サイト・ビジポコでさまざまな情報を発信し、『Japan as No1』を再び取り戻そうと奮闘されています。ビジポコではそんな 日本国の顧問 に相談できます。

 

さて、今回は新規事業の話です。

 

サービスや製品を買ってもらうには、そこに「価値」がなければならないと、このビジポコでは編集長より解説をいただきました。そう価値。たとえば、グルメだって「美味しい」は画面越しに伝わらないので、何らかの「価値」が必要です。アパレルだって「かっこいい」は(画面越しに伝わりはするものの)、購入ボタンをポチッと押すまでには少し距離がありますよね。

 

でも、価値さえあれば買ってもらえる・・・。そこまでは、ビジポコでデザイン思考を通じてくり返しお伝えしてきました。でも、価値ってどこに眠っていて、どう発掘するのだろう? 今回はその価値を見つけていく話です。

 

【ビジポコの学び】

・友人がバッグを買ってくれた理由

・“強み”から探さない、“価値“から探す

・“聞いてみる“の効用はすごい

 

新しく何か事業を始めたいとき

 

何か新しく始めたいとき。ビジネスは、【取引】→【商い】→【事業】の順番に発展していくと以前ビジポコで習いました。

取引とは、知り合いにご祝儀で買ってもらえるレベル

商いとは、知り合いではない人が買ってくれるレベル

事業とは、人に任せて収益が上がる仕組みになるレベル

 

今回、私・藤田は新しいビジネスを考えています。それがアパレルのセレクトショップ的な仕事です。藤田の夫は300枚ほどTシャツを持っていたり、NIKEのスニーカーも狂ったように集めたりしていて、倉庫がもうパンパン。そこで持ち物のうち自分が使わない品をお友達に譲っているのです。それを事業化したいなと思いました。

 

アパレルのセレクトショップ!?

 

たとえば、ヤフオクやメルカリに出しても全然売れないシュプリームのショルダーバッグ。夫がSNSで「譲るよ」というと即座に買い手がつきます。在庫だけでなく、着こなしのセンス、偽物ではなく絶対に本物だという信用。そして倉庫もアドレスも準備してあります。

 

さらにスニーカーやシュプリームのバッグなどのストリートカジュアルは市場がもともとあるのです。メルカリやヤフオクは偽物が怖く、鑑定アプリ「スニーカーダンク」が二次流通市場を独占。ただ、アパレルは偽物がとにかく流通していて怖い状態です。そこで、執拗に本物へのこだわりをみせ、毎日毎日YouTubeでスニーカー鑑定の動画を見て、さらにNIKE公式アプリ以外で手に入れたスニーカーに少しでもソールの異変を見つけたら即座に原宿まで持っていって鑑定してもらうスニーカー狂の夫。その夫のアパレルを売ろうというものです。

 

 

上記の図をご覧下さい。

 

顧客にとって価値があり、自分たちが儲かって、1円でも安く実現できる、その円の重なるところが新規事業。

 

編集長によると、「『強み』から発信すると穴にハマる」とのこと。たとえば、「うちの夫はファッションセンスがいいのが強みだから売れば買ってもらえるはず!」と私は安易に考えましたが、それは強みドリブンでの思考で、穴にハマります。しかし、強みや「うちがやるべきことか」と悩むのは実はどうでもいいのだそうです。強みから考える人、すごく多そう・・・。

 

また、現在の事業じゃ不安だから新規事業に乗り出すわけなので、『強み』を意識するとタワレコにとっての店舗と同じで、足かせになり得る(店舗を持つのが強みだったはずが、土地という存在に縛られてしまう)と。強みではなく、価値から考える。そのために、顧客候補に聞いてみることが大事だといいます。

 

 

私たちの洋服を即座に事業化できるかというとそうではありません。そこで編集長に相談しました。

 

デザイン思考“聞いてみる”の効用はすごかった

 

―――夫が沢山持っているアパレルを売りたいのですが

 

(河上)「即座に買い手がつくので、“取引“は成立していますね。ヤフオクやメルカリでは売れなくても、知り合いなら買ってくれる。でも、なぜ買ってくれるのか?! どんな価値観があって購買に至ったのか。 まず、”聞いてみる“から始めましょう。」

 

―――「かっこいいから」とか「藤田君の持ち物なら絶対に偽物じゃないから」とかですかね?

 

(河)「それは売り手側から見えている理由らしきもの、想像ですよね。頭の中で想像しているより、実際に買ってくれた人に“聞いてみる“から始めます。新規事業を拡大させるときは、広告よりも聞くことが重要です。そこから再現性があるかとか、いろいろ見えてきます

 

(河)「この図左側、提供者視点のままに『センスがいいから買ったんでしょう?』と思ったまま突き進むと、顧客(図での赤ちゃん)にはぬいぐるみのお尻がぐるぐると回っている状態を延々と見せられているのに気付かないまま進むことになります。」

 

(河)「ただし、お尻が回っているのを顧客が喜ぶ可能性もあります。たとえば“おしり探偵“が流行ったように、喜んでいるかもしれない。がっかりしているか喜んでいるかも、価値観なのです。こればかりは顧客に聞いてみないとわからない。なので、まずは購入者に話を聞いてみるのが大切なのです。」

 

―――(翌日)―――

 

―――聞いてきました!「買ってくれたご本人は『前からかっこいい人だと思っていた』とのこと。さらにオフ会に娘さんも来ていたのですが、『パパは前から藤田さんのことをかっこいいって言ってた』とのことでした」

 

(河)「そこから『嫁ブロックがかからない』という価値が見えますね。かっこいいと家で言われていれば、高いものを買っても文句を言われにくいですよね。嫁ブロックがかからないという価値。娘にパパかっこいい、と言われて鼻の穴が膨らむ」

 

―――なんと!!たしかに、高いモノを買って「パパまた高い服買って!(怒)」と咎められる経験はパパさんなら誰しもありそう。しかしそれがない。つまり嫁ブロックがかからない、家族から褒められるというのは、大きな価値かも!

 

(河)「バッグを買ってくれた人は、いつもかっこいいと思っていて家でも話していた旦那さんのアパレルなら嫁ブロックがかからない、だから買った、と読み解けるわけです。価値観がみえてきました。」

 

―――“聞いてみる”の効用すごいです!家の中でもんもんと考えていても気付けない価値です!

 

(河)「ここから、ぜひ次のステップである“価値と物理をいったりきたり“を覚えて欲しいです。」

 

(河)「人形のお尻を見て、どう評価するのか。すべてはこれと同じです。嫁ブロックを突破できるという価値を、お客さんはどこから得ているのか。今回の場合は、オフ会に家族を連れてきていた、ということから顧客さんは価値を得ています。もしもこのオフ会に娘さんが来ていなかったら、嫁ブロック回避や娘さんからのパパカッコいい!はあったでしょうか?たぶん、ないですよね。販売よりもはるか手前で、顧客にとっての価値を提供していたということです。」

 

(河)「ものを買うよりはるか手前で、藤田さんから購入すればという条件付きで、ブロックされる状況を回避している。その状態で、藤田さんからモノが売りに出されたら、それは財布との相談さえつけば、即買いになるわけです。奥様に怒られないかな、とか娘さんにキモいと言われないかなといった悩みは、藤田さんから購入する場合はそもそもないのですから」

 

 

―――事実としての物理、そしてそこに隠れた価値を探し、価値を提供できたトリガーを探す。その繰り返しで商いを成立させて、事業化していく。行動あるのみですね!

 

ビジポコの学び

 

世の中、洋服は無限にあります。でも、かっこいい人は一握り。

 

だからこそ、審美眼や生まれ持ってのセンスなら、買ってもらえるのではないか・・・そう考えたのですが、それは強みから考えているので失敗します

強みではなく、価値から探すことの効用を今回知りました。シュプリームのバッグを買ってくれた人にとっての価値は「嫁ブロックがかからない」からかもしれません。

 

パパさんが家で自分の買い物を非難されるのはつらいです。しかし、家庭内で褒められる買い物だったら・・・。家族円満、自分もかっこよくてホクホク。毎日自信を持って過ごせる。なんだか価値がうっすらと見えてきました。

 

ただこの見つかった価値に再現性はあるのかどうか、さらにはこれから【事業】として育てていくためには、顧客の解像度を高めていく必要があります。顧客候補と毎日会話し価値を感じさせた要素を探していく、というプロセスに入ります。当シリーズは『新規事業をつくろう』コーナーで続きます。お楽しみに!

 

【ビジポコの学び】

・友人がバッグを買ってくれた理由

・“強み”から探さない、“価値“から探す

・“聞いてみる“の効用はすごい

 

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