利益とは誰の何の課題をどう解くの?から。

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ビジポコ編集長・河上泰之にビジネスについて教わろう!のコーナーです。

 

「顧客にとって価値がある」からすべてはスタートします。お金を払ってまで解決したい問題に取り組み、「自社ができる」と「利益が出る」のちょうど真ん中が持続的に利益が出る事業のタネです。

 

さらに読み解いていくと「利益が出る構造とは問題解決と業務の組み合わせ」だと河上はいいます。今回は、リーンキャンバスという表を用いて、利益を出す構造について詳解をお届けします。

 

【ビジポコの学び】

・リーンキャンバスで新規事業を作る

・事業作りとロマンや情熱は別物

・誰の課題を解くか、「誰」を明確に

・現状や理想を妄想で判断しない

 

リーンキャンバスで事業そのものを作り出す

 

「新規事業を考える」といっても、何を考えたらいいのか・・・そこでヒントになるのがリーンキャンバスです。リーンキャンバスは、起業家に人気の書籍『リーン・スタートアップ』(アッシュ・マウリャ著)で紹介されたフレームワーク。事業を9つに分けます。
(以下紹介するのは、日本人向けに意訳をした内容です)

 

0なぜやる?

1誰の

2何の課題を

34どう解くの

5どこで宣伝して

6売上は

7費用は

8KPI、KGIは

 

という形で、キャンバスへ徐々に書き込んでいく形で事業作りを進めていきます。

 

「利益が出る仕組みとは、問題解決と業務の組み合わせです」

 

と河上はいいます。

 

問題解決=誰の、何の課題を、どう解くか

業務=なぜやるのか、どこで宣伝して、売上と経費はいくらで、何をKPI/KGIとするか

 

この組み合わせで進めていくのだそうです。

「なぜやるのか」と問われると意外と難しいですね。フリーランスは目の前の「売上」を追いかけて「経費」を小さくするという単純な足し算と引き算に日々ほんろうされ、なぜやるのかの問いにうまく答えられていない人も多いのではないでしょうか。個人に限らず、それは企業でも案外同じかもしれません。日々の業務が忙しく、改めて考える暇もない…

 

しかし新規事業に取り組むからには、「なぜやるの?」の問いはとても大切なのだと思います。リーンキャンバスでも0番がついていますし…。

 

情熱や熱量はリーンキャンバスに不在

 

「事業はロマン!」

 

としかいえないライター藤田に、「実は、ロマンや情熱はリーンキャンバスには出てこないんですよ」と河上はニコニコしながら教えてくれました。

 

 

河上「ロマンとか、情熱とか、夢とかは、以前お伝えしたキングボンビー(リンク)との関係のなかに出てきます。つまり、人類は夢を叶える手段として事業を“利用“していると読み解けます。」

 

 

河上「夢を叶える構造を徐々にでも作っていくこと。それが法人と人類の関係で求められます。」

 

誰にとって価値があるか

 

新規事業を考えるに当りいろいろな評価点がありますが、絶対に外してはいけないのが【顧客にとって本当に価値があるか】という点。さらに、誰にとって価値があるか。

 

河上「たとえば“誰“を小学生の男子だと定義するとそれだけではあやふやです。『ドラえもん』だとすると、のび太君なのか、ジャイアンなのか、スネ夫なのか。それとも出来杉くんなのか。ジャイアンのためのアイデアと、スネ夫のためのアイデアと、のび太のためのアイデアは全然違うモノが必要な感じがしますよね。」

 

―――たしかに『女性に売る』なども安易に考えがちですが、しずかちゃん(『ドラえもん』)なのか禰豆子(『鬼滅の刃』)なのかエルサ(『アナと雪の女王』)なのか、で価値観も求める何かも違う気がします。

 

河上「はい、すると顧客にとって価値がある、の顧客が見えてきます。問題を解くにしても、問題が見えるようになるのです。自分の趣味で「いける」「いけない」を判断しないという話です。」

 

―――自分の趣味で判断して何が悪いのでしょうか?

 

「趣味で判断してしまうと、アイデアを出す人が、社長や役員に気に入られるためのアイデアを出すようになってしまいます。」

 

―――それは盲点でした!「顧客にとって価値がある」を忘れて、上司や仲間内が気に入るアイデアを出してしまうトラップはあるかもしれません!

 

お客様の現状を理解し、理想を理解する

 

利益が出る仕組みとは、問題解決と業務の組み合わせ。

 

問題解決が大事なら何より問題をしっかり認識していなければなりません。

 

河上「実は新規事業を作っていく際の大問題は何かというと、現状と理想の把握です。

理想とする状態があって、そこに現実が及んでいないから、お客さんは現実と理想の差を埋めてくれそうな商品やサービスを買うのです。大切なことだからくり返しますが、実際に問題を解くものではなく、解きそうな雰囲気が売れます。」

 

河上「たとえばダイエット。理想体重が70キロなのに、現在120キロある場合を考えます。」

 

「問題とは現状と理想に差があることです。だから理想と現状の体重差がかなりあって、現状と理想を近づけそうな雰囲気のある商品やサービスが売れます。レコーディングダイエット、断食道場、メタボ健診・・・。」

 

―――雰囲気、というのはなんとなくわかる気がします。ライザップに入った瞬間体重が減るわけではないのはわかっているのに、強烈に惹かれます。

 

河上「ダイエットだったらとてもわかりやすいのですが、新規事業を考えていこうとする作り手が顧客の現状と理想を勝手に定義してしまうのはよくありません。顧客の『これは理想でしょう?』『こんな風になりたいんでしょう?』『これなら買うよね』といって勝手にはじめてしまい、散々広告を打って全然反応がない・・・みたいなことはさまざまな企業で起こっています」

 

―――とても耳の痛い指摘です。脳内の妄想からスタートしたら大きくずれるのですね

 

顧客にとっての現状と、その顧客にとっての理想。それを知るための手がかりとして価値観を見ていく必要があります。とても大切な話なのですが、それを知るために以下を見ていただければと思います。

 

 

 

 

―――ビジポコで何度か出てきた、お母さんとお父さんが飾りをみて喜んでいますが、赤ちゃんは何もいわないというイラストですね。そして赤ちゃんから見たら人形のお尻がくるくるまわっているという・・・。

 

顧客から見えている世界つまり現状は、こんなことだったりします。赤ちゃん用品店にいくと本当にお尻がくるくる回っているおもちゃがいまでも売っています。親から見ると可愛い人形がくるくる回ってよさそうなのですが、実際はなんか違うよねと。

 

お客さんが「よい」といえば万々歳なのですが、「悪い」と判断するとクレームにつながります。「どうでもいい」と思われると、話すら聞いてもらえません。評価が分かれる理由は価値観次第となります。

 

―――だから、価値観を知るのが大切で、さらに妄想で考えるのではなくまず「聞く」からスタートするとよいのですね!

 

まとめ

 

誰の何の課題をどう解くか。「誰」の輪郭をはっきりさせ、どういう現状と理想を持っているのか価値観を知り、問題解決していく。そして、問題解決をしそうな雰囲気が売れるとわかりました。

 

藤田はそもそもリーンキャンバスの「0、なぜやるのか」で立ち止まってしまいましたが全体像を見せていただいたことで、ちょっと前に進めそうな雰囲気が出てきました。

 

誰の課題を解くか、なので「誰」を明確にしなければなりません。自分の課題を解いてそれをより広げる考え方もありですが、新規事業は他人の課題を解く必要があります。そのために他人を知っていく必要がありますし、とくに世の中なかにどんな価値観があるかを学ばなければならないのです。そのための第一歩として、「聞く」はとても有効な手だと感じます。

 

また、ロマンや情熱が事業作りに関係ない(リーンキャンバスに入っていない)のは意外でした。精神論だけではいつか資金が尽きてしまいます。しっかり学んで検討し「新規事業を考える」の考える部分を明確にしていきましょう!

 

【ビジポコの学び】

・リーンキャンバスで新規事業を作る

・事業作りとロマンや情熱は別物

・誰の課題を解くか、「誰」を明確に

・現状や理想を妄想で判断しない

 

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